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第五話 婚約回避、絶望的な模様。
2歳になりました。
第二皇子が産まれました。
タイミング良すぎて怖いよ。
これで侯爵家は皇族への嫁入り確定とか言われてるし。
本当に嫌です。
ちょっと待って。
侯爵家の皆さん?
少し立ち止まって考えてみて?
どう考えてもほかのちょうどいい歳の女の子もいるじゃん?
うちの娘をぜひ皇子の婚約者に…なんてどの高位貴族も考えてることだよ。
だから計算して子供作るのなんてどの高位貴族もやるもんなの。
もし息子だったとしても爵位継がせたり側近にできたりもするし。
このぐらいの年齢の子なんてめちゃくちゃいるんだよ?
って思ってたんだよ。
この前までは!
こないだね
二年ぶりに両親に会ったの。
なんかお客さんが来るらしくて仲のいい家族のふりをしなきゃいけなかったのね。
それが私には本当に苦痛だったの。
なのに。
それなのに聞けたのは私に不利な情報。
きっと、母上と父上にとっては有利な情報。
我が国の貴族の№1って皇都のダイヤモンド公爵家なの。
で娘がいる。
でも皇族の方々は皇都の宮殿貴族との婚約じゃなくて地方の貴族との婚約がしたいらしい。
そしたらほかの公爵家二つは…ってなるけど、娘がいない。
じゃあ№4のクリスタル侯爵家は…ってなる。
でも将軍の生家もそこだから娘ができても嫁がせたら
貴族間のパワーバランスが崩れちゃうわけ。
貴族間のパワーバランスが崩れるということが表すのは
皇族の権威が薄れてしまうということ。
前世でいうと、たとえば
藤原氏が政略結婚と官職の独占をしたから
実質的に藤原氏が国を乗っ取った。
こんな感じでクリスタル侯爵家一強になっちゃうと
ほかの貴族も皇族も困っちゃうのよ。
だからクリスタル侯爵家から皇子妃が出る可能性は限りなく0に近いの。
つまり…?だよ!
そう!私がこの国で一番可能性のある令嬢になっちゃったんすよ。
だから皇子妃第一候補に私の名前が挙がっているそうです。
いやだよ。
だって私の中身24歳よ?
足し算したら26歳。
相手は今4歳児か0歳児?
いやさすがに考えらんないわ。
前世のころはショタ可愛い~とかなってた時あったけど!
それでも恋愛対象ではなかったよ。
私どっちもいける人だったけど。
女も男も恋愛対象。
しいて言うなら女の子のほうがかわいいし好き。
こんな感じだったけど前世の私は自分でいうのはなんかあれだけど
美人だったし、声も女にしては低めで
声だけなら男って言われても信じられるぐらいイケボだったから
女の子にはモテてた。
男と付き合ったこともあるけど
わがままで自分勝手なのは女の子なら許せるけど
男はなぁってなったからそんなに長続きしなかった。
まあ、今回の人生は恋愛はあんまりいいかなって感じ。
《私が》楽しい人生を送るのが目標だしね。
これからもがんばるぞー!!!!
私がいきり立ってから三年。
5歳になった。
私リア。
絶賛大ピンチである。
オパール辺境伯家に神童と呼ばれるような女の子がいるらしいのだ。
今は2歳だそうですがオパール辺境伯の長男も神童と呼ばれていたこともあり、
これからの将来が楽しみだとみんな言っている。
母上はそのことを知った瞬間私の部屋に来て大変お怒りだった。
お前の努力が足りないせいで辺境伯家ごときの令嬢がほめそやされているのだと。
ですがこの人は知っているのだろうか。
オパール辺境伯家の領地は辺境とは名ばかりのとても豊かなところだ。
南と東が海で大きな港があり、皇都の茶会でも使われるような高級茶葉の名産地。
それだけでなくとても強いことで有名な騎士団までいる。
しかもオパール辺境伯夫人は皇帝陛下とも仲良し。
皇族にとっては無視なんてできないほど大事な一家だ。
ですがきっとこの母はそんなこともわからず私の努力が足りないと怒鳴っているのだろう。
そんな心の声が聞こえてしまったのだろうか。
パンっという乾いた音がなって
部屋が静まり返った。
暫くして左頬がジンジン痛んでいたから
きっと私はビンタされたのだろう。
すぐにエドワードが来てくれてかばってくれたのだが
それすら母上の癇に障ったようでエドワードも執事の子供ごときが何様かと
張り倒された。
私は周りの人に私の不幸が移らないように魔力を増やして、精霊と契約して。
強くなったつもりだった。
でも私は自分のために生きていた。
全部自分基準に考えていた。
その時気づいてしまったのだ。
今までの考えは甘えだと。
前世の考え方だと私にやさしくしてくれた人を傷つけることになると。
子供だから。
まだ5歳だから。
人間だから。
そんなことではいけなかったんだ。
私が完璧でないと。
何も責められるところなんてない状態で。
責める隙もないようにならないと。
周りの人を守れない。
だから私は完璧な令嬢らしく振る舞うことにした。
今までの私なら絶対に面倒なことになるからしようとも思わないだろう。
だが私は決めたのだ。
「お母様?わたくしこの後第一皇子殿下との茶会が控えていますの」
「もうよろしいかしら?皇族の方をお待たせするわけにはいけませんわ」
にっこりと綺麗なアルカイックスマイル。
完璧な言葉遣いに所作。
何も文句は言わせない。
今更自分が娘をたたいたことに衝撃を受けていた母上も何も言えなかった。
私の勝ちだ。
もうこの家いらないかも。
嬉々
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コメント
3件
うわー、一気に重くなった……! 「完璧でいなければ周りを守れない」っていう気付きのシーン、すごく痛かったです。ビンタやエドワードへの仕打ちで、主人公の「甘え」が破られる瞬間の温度がひしひし伝わってきました。そして最後のアルカイックスマイル、めちゃくちゃカッコいいけど切ない。この家いらないかも、って本音がぽろっと出るところがまた……続きが気になる!