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「息抜き……?」
「うん。今日は、朝より昼、昼より夜と疲れた顔をしている」
篤久様とは朝会って、昼間の百貨店帰りに会って、そして夜の今会って……
「別に疲れてはいませんけど……」
池田の言動は想定外の腐り具合だったけれど、疲れたと感じてはいない。
「目的達成に一生懸命で疲れを感じていないのだろうけど、楽しい息抜きもないと頭が働かない。それは俺たちの仕事でも同じこと」
「はぁ…ぃ……」
もう時間がないとも思うから、頑張りどころなのよ。
とりあえず曖昧に返事をした私に
「次の休日、一緒に出掛けるから。そのつもりでいて」
と篤久様は言い切った。
「出掛ける?」
「そう」
「どこへ?」
「今から考える」
単なる思いつき発言だろうと、あまり深くは考えず
「はい」
と従っておく。
それよりも大切なことは
「篤久様以外の誰も、遥香様の起こした冤罪事件が私の家族を不幸にしたと知らないので、このまま言わないでいただけますか?」
これが重要。
「わかっている。心配ない」
「ありがとうございます。では失礼します」
篤久様は大丈夫だと思った。
根拠をはっきりと言えるほど、私は人間関係構築に長けていないけれど、大丈夫だと……何故か思った。
それから連日、遥香は自分のアカウントで、ファッションショーのような投稿をしている。
私が荷物持ちをした洋服たちね。
遥香はフォロー数とフォロワー数が同じくらいなので、相互の人が多いのだと思う。
そういう軽い繋がりだからこそ、そこのユーザーに私の集めた証拠を流すと再投稿や引用投稿をしてくれると思うのだけれど、それはすぐに遥香の目に入ってしまうことになる。
だからもう少し考えないと……そんな身内で炎上なんかでは済まさないわ。
私も連日、データを整理してその日を窺う……そして、休日の日曜日
コンコンコン……
何……?
このひっそりとした場所にある私の部屋を訪ねてくる人なんて誰もいない。
いなかった……
それなのに、誰?
私は警戒して、音を立てないように平机の上を片付けると
コンコンコン……
再びドアがノックされる。
ちょっと待って……ボイスレコーダーを入れるポケットがない……
「真奈美さん、いる?」
篤久様?
「……はい」
「今から出掛けられる?」
「え……?」
驚きの言葉に、私はそっとドアを開けると
「……何も用意していませんけど……本当に出掛けるとは思っていなかったので」
篤久様でなく、自分のTシャツにゆるっとしたパンツを見た。
「じゃあ、用意から一緒にしよう。朝から眉間にシワがあるよ」
「え、私ですか?」
慌てて自分の額や眉間を撫でる私に
「なんか難しい、疲れた顔だってこと。行こう」
と言う篤久様の目には、よほど私が疲れているように見えるようだ。
「篤久様と、ですか?」
「そう」
「いいのかな……?」
「うん?休日に何をしたっていい」
断言されると、そうかな……とも思うけど……どうしよう。
何も考えずに出掛けられるのが一番いいんだけど。
えっ……?
私の本心は、出掛けたいってこと?
「なんかいろいろと考えているようだけど、一旦何も考えない時間が必要じゃない?ずっとこの家に居るだけでなく、出よう」
「……はい」
私は満足そうに笑った篤久様と出掛けることにした……どこへかは分からないけど。
コメント
5件
何処へ
私も、篤久様は、大丈夫やと思う🥹🍀 たーだ‼️真由美ちゃんのパソコンとか心配😰
『用意から一緒にしよう』なんか嬉し恥ずかしいよね(//∇//)テレッ どこへ連れて行ってくれるんだろう?海とか山とかかな?気分転換になって更にパワーアップできて、頭も冴えて冷静に動けるかもね。 うーん真奈美ちゃんが篤久様のこと大丈夫だと思ったのならば、私…も…そう思うことにする。 うん!思いっきりリフレッシュしてきて!篤久様のプライベート見てきて〜!素敵よね!きっと🤩 あと、くれぐれもお部屋気を付けてね。←しつこいね💦だって心配なんだもの😥