コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
乱歩に異能つけてましたすみません
超推理って異能じゃないもん
数時間前――
レムの研究室跡地。そこに残されていたのは、ただの瓦礫ではなかった。
冷却保存された【感情誘導剤】。
そして――ポオ・エドガーを対象に設計された実験ファイル。
「被験体P-08、異能により感情を“具現化”させる素質あり。
分裂誘導によって、個体制御を可能とする。
副作用:人格破綻/多重自殺衝動/対象喪失による暴走」
乱歩はそのファイルを手に取ったとき、嫌な予感がしていた。
でも、遅かった。
現在――
ポオの中に、“誰かがいる”。
部屋の空気が変わった。
「ポオ君……?」
返事をしたのは、“冷たい声”のポオだった。
「……乱歩。お前がまだ生きていたとは驚きだ。」
乱歩の心臓が跳ねる。
「……その言い方、どこかの誰かに似てるね。」
ポオは笑わなかった。ただ、腕を振る。
その異能の一撃は、乱歩の足元を焼きつくした。
「“哀しみ”と“怒り”と“憎しみ”。それぞれが形を持った。
俺の中で、もう“君を想っていたポオ”は、分裂したんだよ。」
幻想と現実の狭間
乱歩は、ポオの異能空間に閉じ込められる。
そこには、**“ポオの感情だけで構成された歪んだ世界”**が広がっていた。
荒れた書斎には「怒りのポオ」が座っている。
床の下には「泣き続けるポオ」がうずくまり、
そしてその中央に、「冷酷なポオ」が立っていた。
「どの俺が、君にとって本物なんだ?」
冷酷なポオが問う。
乱歩は答えられなかった。
何を言っても、彼らは耳を貸さない。
「愛なんて、君の錯覚だ。
俺はもう、“感情で君を見ていない”。
君を守りたかった頃の俺は、もう殺した。」
一方、現実世界では――
乱歩の身体は、レムの残党によって捕らえられていた。
「錯乱誘導装置」――感情記憶を強制的に切り貼りし、対象に“偽りの記憶”を植え付ける装置により、
乱歩の中に、“ポオに殺された記憶”が流し込まれる。
「ポオ君は、僕を殺した。」
そう信じ込むよう、仕組まれていた。
錯乱、覚醒、そして敵対
異能の波動が走る。
乱歩の瞳が虚無の灰色に染まり、口元にうっすらと笑みが浮かぶ。
「――僕は、ポオ君を殺すために生き返ったんだね。」
ポオが構成した“感情空間”に突如として現れた、敵意に満ちた乱歩。
ポオは目を見開く。
「……乱歩?」
「もう違うよ。僕は“君に殺された僕”なんだ。」
次の瞬間、乱歩の異能が炸裂する。精神干渉型推理異能が、ポオの感情人格を一人ずつ消去し始める。
「君の“愛”から始末するよ。」
幕間:名もなき殺意
ポオの中に残る、“唯一の想い”――それは、「あの日手を止めた自分」への後悔。
そして、今目の前にいる乱歩は、その“罰”そのものだった。
彼を止めるには、自分の“感情”を殺すしかない。
その矛盾の中で、ポオはついに答える。
「……俺の全部で、もう一度、君を“殺さない”。」
分裂した感情の自我が、ポオの中で統合されていく。
冷酷も、怒りも、愛も、哀しみも。
全てが一つになったとき――