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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない
・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語
・投稿頻度がノロマかつ不定期
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こんにちはです!
早めに完結させ方が良いかな、と好ペースで執筆しております!いつも読んでいただきありがとうございます、作品への愛を感じてとても嬉しい限りです♡
それでは、行ってらっしゃいませ〜。
叔父さんから久しぶりに連絡が来たと思えば、情報収集やら張り込みやら、部下に頼むような雑務を俺に押し付けてきた。それ相応の対価を貰えるので、無職の俺は断る理由もなく、淡々と依頼をこなしていた。それがここ数日の間頻繁になってきたので、ロスヨントスに住み込もうと決心する。依頼の度に飛びまわるより、その中心地のロスヨントスに居住した方がなにかと楽だと思ったためだ。そして今、会う人話す人ほとんどが犯罪者というこの街で、なぜか俺は放浪している。
(なーにが「もう山場は超えたし人手も増えたから依頼はないぞ。」だよ。こっちはもう居住しちまったんだよ。)
俺の所持金は底を尽きそうになり、安定した職に就く必要性が出てきてしまった。警察官だけにはなりたくない、と思っていたがまともに稼げるのは正直警察しか思いつかない。すでに持ち合わせているこの能力と、叔父さんから前に貰った推薦書のような紙だけが、悔しくも頼りの綱だった。
履歴書と推薦書を渡しただけで、すぐ警察体験をさせてもらえることになった。面接もなくトントン拍子で話が進み、少し怪しささえ感じたが叔父さんのおかげということにして片付けた。続けてロッカールームに案内され、控え室のように使ってくれと言われる。周りを見渡すとテキパキ準備をしており、特に荷物もなかった俺は動きやすい服装に着替えるのみで、そそくさと退室した。自分と同じ人たち何人かに話を聞いたところ、新人が2人ペアになって上官が1人つくことを知る。
(グループでの研修か…、とりあえず足を引っ張らないようにしないと。)
警察官になるための訓練を不本意に受けた身として、周りと同等に出来る自信なんて微塵もなかった。より一層真面目にやらなければ、と深呼吸をしていると上官たちがやってくる。1人、また1人と声をかけられ離れていく。そして、俺と鼻歌を歌っている変な人だけが残った。この人とペアなんだろうなと察した俺は、声をかけに行く。
「あの、俺ら一緒かもです。」
「はぇ?そうなん?」
「他の人たち、もう担当と行動してたんで多分…、あと俺らだけっす。」
「あ〜、まぁ待ちまッ。」
そう言いかけた彼を不思議に思い、俺はその視線を追ってみる。目に入ったのは淡くて綺麗なピンクの髪、その女性から連想したのは桜だった。
「初めまして〜”成瀬タコ”ですぅ〜。こんな美少女が教官なんて君たちはとてもツイてるな。」
「スゥ-…”音鳴ミックス”です、おなしゃーす。」
「…(綺麗な人だな)牢王蓮です。よろしくお願いしますッ。」
「あれ、てか音鳴くんどっかで会ったことあるよね?」
「ェ?いやいやそんなわけ……あぁぁァ?」
横で急に大声を出され鼓膜が破れかける。音鳴さんと成瀬さんはどうやら知り合いのようで、この時点で少し心が折れる。コミニュケーション能力がないわけではないが、心を許し合う友達や仲間という存在を知らなかった。その羨ましさから組織に所属する道を選んだのか、と振り返るもそんなことはないと否定する。
(俺に今必要なのは金だな。)
「あの、まずは何から始めるんでしょうか。」
「あ、そうそうこれから武器とか備品の説明するんだけど、これは”レダー”さんたちのとこと一緒にやろう。」
無線で成瀬さんが連絡を取り、スタッシュ倉庫という場所の前で待ち合わせをするらしい。一気に新人・警察体験を受け入れたことで、まとめて説明した方が効率的なのはよく理解出来る。しかし、ここまで身内で会話をされるとは思っておらず、完全に心が折れてしまった。
「こっちが”刃弐ランド”くんで、もう1人がなんと芹沢(笑)」
「あれ!?芹沢ってここ来て半年以上経ってなかったっけ?」
「いや…、色々あっテ〜。」
「”刃弐”、なんで今ニヤついてた?」
「……気のせいじゃない?」
(俺ぼっちマ?やっていけんのかこれ。)
とりあえず離れた所でニコニコしていると、音鳴さんと刃弐と呼ばれていた人が寄ってくる。
「牢王くん、こいつ刃弐ランドって言うんやけどマジでクソガキやねん、気ぃつけてな(笑)」
「は?音鳴さんみたいな変人よりはマシだと思うっすけど。」
「はいぃー。ほらどうこれ、先輩に対して良くないよなぁ?」
漫才のようなそのテンポ感に笑う、というよりつい感動してしまった。ノリの良さは充分習得していたつもりだったが、新たな発見をしたなという意味も込めてふふっと笑う。すると、成瀬さんが戻ってきてレダーさんと”芹沢”さんの紹介をされる。俺らからも簡単な自己紹介を行い、基本のきとなる説明が始まった。
「お疲れ様ね〜。」
そう成瀬さんに見送られ、警察体験の1日目は終了する。とにかく情報量が多く、何より小型から大型までの犯罪対応に同行するなんて、ハードにも程があった。久しぶりの忙しなさに満足度を感じていると、声をかけられる。
「牢王くん、あんま気を落とさんと…。あの時のカバーとか結構助かったで。」
「そうそう、あれはマジで良かったよ。とりあえず飯渡しとくね。」
「………グハッ。」
先程まで忘れようとしていた自分の醜態が、走馬灯のように流れてくる。成瀬さんがパトカーを出せば下敷きになり、レダーさんの乗るヘリから空中に放り出されたり、撃ち合い中に上手く立ち回ろうとして空腹ダウンしたり……。とにかく誰よりもポンコツをかまし、誰も笑えない状況だったのがトドメだった。2人がどうにか慰めてくれてはいるが、俺の心が晴れることは無い。あと数日の間で名誉挽回出来るのか、不合格RTAの記録保持者にならないよう、作戦を練り始めるのだった。
「あ、そういえば警察体験お疲れ様でした。」
「えっ?あ、はい。」
「蓮くんの結果を今から通知するんですが、不合格です。」
「ん?スゥー(え、事件対応中に伝えられるマ)ですよね…了解です。」
「こんなに仕事覚えの良い人はアタシ以外見たことがありません。今後は常に初心を忘れず、警察業務に努めて下さい。市民対応もね、しっかりやってもらって…。」
「あの、まるで合格みたいな感じで話してますけど…。」
「はい、あなたは合格ですよ。晴れてロスヨントスの警察官になれましたね!おめでとう。」
「…ェ?(マジですか、ありがとうございます!)いやいやいや、なんかじゃないそれは!?」
「いいねぇ〜!その意気よ蓮くん!」
思っていることと話す言葉が逆になってしまい、戸惑いつつも俺は軌道修正を試みた。それもそのはず、不合格確定演出を聞くにはあまりにもTPOが適していない。そして、いかにもだった口ぶりの成瀬さんに、そりゃ突っ込みたくもなるよ、と過去の俺に寄り添う。すると、全て見ていた音鳴さんが、呆れながらやって来た。
「え、ごめん俺ら一応犯罪対応中なんやねんけど……何この茶番は。」
「いや、音鳴…君は乙女心を分かってないね。」
「急に呼び捨てやし、乙女心てなんやねん…。絶対適当言ってますやん。」
「…良いッ!!蓮くん、どう?この空気感でやろうよ。」
「どう?と言われましても。」
「はぁ、このノリについてこれんか…。」
「ほら犯人が人質連れて来たよて!とりあえず立てェ!2人とも。」
茶番だったらしいものが強制終了させられ、俺の合格は結局事実なのか否か答え合わせはチェイスの後で、になってしまう。気は落とすもきちんと両手は挙げ、犯人から人質解放の条件を聞く。3分アタック禁止という条件を受け入れ、俺はチェイスの準備に取りかかった。
(この前教えてもらったチェイスのコツ、俺は実践出来るのだろうか…。)
パトカーに乗りなれていない俺を見た音鳴さんと刃弐さんが、休憩時間の練習に付き合ってくれた。牢王くんなら大丈夫、なんて応援してくれてはいたが、ハンドルを持つ手は今少し震えている。
ブレーキの加減と直線時のアクセル、練習での教えを丁寧に実践して何とか犯人の後を追う。音鳴さんが先導してくれたこともあり、何とか3分間目視をし続けることが出来た。
(アタックはスピンを狙うように斜め後ろから……。)
くいっと車体に当てると、見事犯人の車のバランスが崩れスピードが落ちていく。すかさず音鳴さんが回り込もうと並走するも、狭い路地へと逃げ込まれてしまった。しかし、その先が行き止まりなことをナビで知り、音鳴さんに続いて俺もアタックして逮捕だ、と収束が見える。
「おいおい犯人さんよぉ〜、もう観念しッ」
そんなことを考えていると、咄嗟に音鳴さんが車を止めてテーザー銃を構えながら出てきた。ブレーキを踏み込んだものの無事間に合わず、
鈍い音とともに綺麗に吹っ飛ぶ音鳴さんをただ目で追うことしか出来なかった。とりあえず車を止め、謝罪文を構築しながら急いで駆けつける。
「…スゥー音鳴さん、あのマジですいませッ。」
「こぉれぇぇい、牢王ぉぉなーんしてんねーーん!」
「いや、ほんっとに(笑)」
「ワロてる場合ちゃう!待ってまずいッ、出血がやばいッ!!!」
「包帯巻いて、早くッ(笑)」
「分かってんねん!…待って、包帯ない忘れたハハッ(笑)」
「何やってんだよ!(笑)」
「てか、牢王運転めっちゃ上手かったやん!」
「今じゃないってそれ、ほら病院行こう。(笑)」
そう言って、ダウン寸前のような音鳴さんに肩を貸す。褒められるために積み上げた俺の努力は、なんでも出来そうだしね、なんでも出来るから大丈夫、という言葉たちで片付けられてきた。そして、いつからかそれはプレッシャーとなり、失敗することを許さなくなった。そう自分で押し付けていた、という方が正しいかもしれない。しかし、それをなんとも思わないこの感じ、失敗さえ需要に変えてしまうこの雰囲気が、俺の求めていた温かさに思えた。独りではなし得ない、仲間の心地良さを初めて味わった。
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