テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ボーダー本部・訓練室の隅。午後の光が射し込む中、トリガーをしまい、ナマエは息をついた。
『ふー、もうヘトヘト。ねえ出水先輩、手ぇ抜いてなかった?』
「え? 俺、結構手加減してたつもりだけど?」
ニヤっと笑って肩をすくめる出水公平。訓練後でも整った髪のまま、汗もかいてないように見えるのが腹立たしい。
『じゃあ私のスタミナがないってこと? 女子にそういうこと言う?』
「いやいや、ちがうちがう。ナマエが可愛い顔して根性見せるから、つい本気になっちゃったんだよ」
『……ふーん? それ、誰にでも言ってるでしょ?』
「……さて、どうだろ?」
ナマエの指摘に、出水はわざと意味深に笑って返す。
でもその笑みの奥に、ほんの少し困ったような色が混じっていたのを、ナマエは見逃さない。
『まあ、私が特別ってことにしといてあげる』
「うん、してしといて」
そう言って笑い合うふたり。
まわりの隊員たちが呆れるほど、距離が近くて、軽口の応酬が自然で。まるで本当に、付き合ってるんじゃないかってくらい。
けれど。
「あ、ナマエ、首……それ、包帯?」
出水の声に、ナマエの動きが一瞬止まった。
慌てたように髪をかき上げ、タオルで汗を拭くふりをしながら、答える。
『んー? ちょっと擦りむいただけ。たいしたことないよ?』
「……寝れてる? 最近、目の下クマひどくない?」
『私のお母さんか』
冗談っぽく返したその声は、確かに明るかった。
だけど笑ったその唇の端が、少しだけ引きつって見えたのは気のせいか。
「……そっか。無理すんなよ」
そう呟いた出水の声には、いつもの軽さがなかった。
『うん。ありがと、出水先輩。優しいね、ほんと……誰にでも』
「“誰にでも”って、言うなって」
『……ふふ。じゃあ私だけ?』
そう言って微笑むナマエに、出水は少しだけ、目を細めて答えた。
「……さあ。どうだろね?」
その言葉の真意も、彼のまなざしの温度も、今のナマエにはちゃんと受け取れなかった。
ただ、心のどこかで。
“この人にまでバレたら、きっと私はもう終わっちゃう”
そんな風に、思っていた。
ーー
長編の夢小説は初めてです。AIと作ってある程度加筆はしてますがおかしな部分あるかも。