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ナオ兄、寝てる。
私はナオ兄の頬を人差し指でツンツンとつついた。
うん、なかなかいい感触。これ、癖《くせ》になりそう。
ナオ兄の人差し指が少しふやけている。
微《かす》かに唾液のにおいがする。
あっ、そうか。私がナオ兄の指を咥《くわ》えていたから、ふやけたのか。
なるほど。そういうことか。
それにしても……ナオ兄は可愛いなー。
私は無意識のうちにナオ兄の首筋に顔を近づけていた。
だ、ダメ! 寝てる間にナオ兄の首筋に噛みついたらナオ兄ビックリして起きちゃう。
自分がされて嫌なことは他の人にしちゃいけない。
私はモンスターじゃない。
モンスターチルドレンだ。
ちゃんと理性がある。我慢、我慢。
「……シオリ」
ナオ兄が私の名前を呼ぶ。
ナオ兄が付けてくれた名前。
ナオ兄からもらった大切な名前。
ナオ兄に名前を呼ばれると全身の細胞がしゃんとする。
「な、何?」
「……シオリ……どこにいるんだ?」
もしかして悪い夢を見ているのかな?
私はナオ兄の手をギュッと握った。
「ナオ兄、安心して。私はここにいるよ」
「……そうか。そこにいたのか」
ナオ兄はそう言うと私の手を抱きしめた。
か、可愛い! 大切なものを肌身離さず持っておきたいんだね。
えっと、こういう時はどうすればいいんだっけ?
と、とりあえずこの状態を維持しよう。
私はしばらくの間、ナオ兄の寝顔をじっと見つめていた。