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み ん と
閑話休題 「黒瀬隊ってさ」
B級隊員用ラウンジ。
モニターには、さっき終わったランク戦のリプレイが流れていた。
「……また黒瀬隊勝ってる」
誰かが呟く。
「最近勢いあるよな」
「というか黒瀬強くね?」
別の隊員が真顔で言った。
モニター内。
市街地マップ。
建物の隙間を、レーダー反応が高速で移動していく。
「動き方が嫌なんだよな」
「分かる」
「レーダー見えてても対応遅れる」
黒瀬の反応は確かに映っている。
だが。
どのルートを通るか読めない。
どこから接敵するか分からない。
気づけば距離を詰められている。
映像。
水瀬のライトニング。
敵が横へ回避。
その移動先。
建物裏。
カメレオン解除。
至近距離。
ハンドガン連射。
ベイルアウト。
「うわまたこれ」
「嫌すぎる……」
「しかも撃った後すぐ消えるんだよな」
「深追いしてこないのも厄介」
かなり評価は一致していた。
「黒瀬って何ポジなんだ?」
「ガンナー?」
「でも距離感アタッカー寄りじゃね?」
「詰め方が特殊なんだよな」
「分かる。正面から撃ち合ってくれない」
「気づいたら横いる」
ラウンジに小さく笑いが起きる。
実際、 かなり珍しいタイプだった。
「しかも個人性能普通に高いんだよな」
「エース級以外だと止められてなくね?」
「正面からでも普通に強ぇし」
「判断が速い」
「あと無理しない」
その“無理しない”が厄介だった。
有利なら仕掛ける。
危険なら引く。
徹底している。
だから崩れない。
「水瀬も嫌なんだよなぁ」
「分かる」
「全然撃たねぇのに怖い」
「“そこにいるかもしれない”がずっとある」
「しかもたまに撃つとちゃんと嫌なタイミング」
「誘導うまいよな」
黒瀬との噛み合いが特に厄介だった。
水瀬が動かす。
黒瀬が狩る。
かなり完成されている。
「あと三上隊員かわいそう」
突然そんな声が出た。
「分かる」
「毎回ツッコんでる」
笑いが起きる。
だが。
「でも三上隊員も普通に堅実側だよな」
「それ」
「黒瀬隊いると感覚狂うだけで」
モニターには、 黒瀬が前へ出た瞬間、 三上が即座にカバー位置へ入る場面が映る。
「うわ、フォロー早」
「ライン維持うまいな」
「黒瀬があそこまで動けるの、三上隊員が後ろ安定させてるのデカいだろ」
「無茶しないしな」
「判断が堅い」
派手ではない。
だが、 盤面を崩さない。
味方が動きやすい位置を取る。
カバーへ入る速度も速い。
「地味にかなり嫌なタイプ」
「分かる」
「黒瀬隊の安定感、三上隊員いるからだろ」
「オペの奈央ちゃんも優秀だしな」
「冷静」
「なんかあの隊、全員落ち着いてる」
「派手じゃないけど崩れない」
その時。
モニター内。
レーダー反応。
黒瀬が建物横へ移動。
次の瞬間。
別部隊が接敵。
「うわ近っ!?」
「いつの間にそこ行った!?」
至近距離ハンドガン。
即離脱。
「これなんだよな……」
誰かが小さく呟く。
「詰め方がうまい」
「圧のかけ方がエース級なんだよ」
かなり評価は高かった。
「でもまだ伸びそうだよな黒瀬隊」
「まだ結成してそんな経ってないし」
「連携もっと完成したらかなり面倒そう」
「長期戦やりたくねぇ……」
「分かる」
誰かが最後に呟く。
「派手じゃないのに強い隊が一番怖いんだよ」
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