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10 - 第十章 在校生代表

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2026年02月03日

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講堂の照明が、少しだけ明るくなった。


「続きまして、

在校生代表より、

ひとことお話しさせていただきます」


司会の声に合わせて、

ひとりの生徒が壇上に上がる。


鈴蘭学院の制服。

背筋はまっすぐ。


歩幅は一定。

迷いのない動き。


まどかは、

その姿を見た瞬間、

胸が少しざわついた。


――完成している。


「本日は、

お越しいただきありがとうございます」


声は落ち着いていて、

聞き取りやすい。


感情がないわけじゃない。

でも、

出しすぎない。


「鈴蘭学院での日々は、

自分自身と向き合う時間です」


「ここでは、

自分がどう見られているかを

常に意識することが求められます」


それは、

誇らしげでもあり、

当たり前のことのようでもあった。


「最初は、

窮屈だと感じる方もいるかもしれません」


そう言って、

在校生は微笑んだ。


その笑顔は、

とてもきれいだった。


でも、

どこかで練習したようにも見えた。


「けれど、

自分を律することを学ぶうちに、

その窮屈さは、

やがて誇りに変わります」


「鈴蘭学院に通うことは、

特別であるという自覚を

持つことでもあります」


“特別”。


その言葉が、

まどかの中で、

少しだけ重く響いた。


特別であることは、

うれしいはずなのに。


「私たちは、

学院の名に恥じぬよう、

日々、行動を選びます」


「それは、

自分のためであり、

学院のためであり、

周囲のためです」


言葉は、

何一つ間違っていない。


だからこそ、

息が詰まる。


スピーチが終わり、

拍手が起きた。


音は、揃っている。


長さも、

ちょうどいい。


誰も、

余計な音を立てない。


壇上の生徒は、

一礼して、

静かに下がった。


その背中を見ながら、

まどかは思った。


――ああ、

ここでは、

こうなるんだ。


隣で、

母が小さくつぶやいた。


「立派な子ね」


まどかは、

うなずけなかった。


あの姿が、

自分の未来だとしたら。


想像できない。


したくもない。


でも、

目をそらすことも、

もうできなかった。

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