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みーちゃんは、トラックの真上、ビルの影に身を潜めるようにしてホバリングしていた。トラックの荷台のリアドアには、結衣が残した最後のメッセージが、宅配便のシールという形で貼られている。
詩季「『コップ』『天秤』『チョコ型』『Black Cream』……」
沙夜「結衣が私たちに解いてほしい謎ね。この隠語が、結衣が連れて行かれる場所か、組織の目的のヒントになっているはずよ」
みー「にゃー、お腹すいたにゃ。チョコ型って、美味しそうにゃ」
詩季「みーちゃん、今はそれどころじゃないよ!でも、『チョコ型』って、なんか引っかかるね」
詩季は、みーちゃんの背中にしがみつきながら、スマホを取り出した。トラックの振動で指が滑る。
詩季「『コップ』は、英語で『Cup』。『天秤』は、『Scale』か『Balance』。『チョコ型』は……『Mold』?」
沙夜「ちょっと待って、詩季。この隠語、結衣が私たちと共有していた知識に基づいているんじゃない?」
沙夜は、結衣のナイフが変形したみーちゃんの背中を撫でた。
沙夜「結衣は、いつも『魔法石』の組成や、『人工魔族』の製造プロセスに興味を持っていたわ。特に、『錬金術』の文献をよく読んでいた気がする、」
詩季「錬金術……!」
詩季の頭の中で、錬金術のシンボルがフラッシュバックする。
詩季「『コップ』は、錬金術の四大元素の『水』のシンボル!『天秤』は、『均衡』や『正義』、そして『秤量』……つまり、『量』を測るってこと!」
沙夜「そう!そして、『チョコ型』……これは、『型』、つまり『鋳型(いがた)』。何かを『形作る』って意味!」
二人は顔を見合わせ、同時に叫んだ。
詩季/沙夜「「魔法石の製造!!」」
沙夜「結衣は、組織が魔法石を人工的に製造している場所に連れて行かれているってことを、私たちに伝えたかったのよ!」
詩季「じゃあ、残りの『Black Cream』は……?」
みー「にゃ!『Black Cream』は、『黒いクリーム』にゃ!」
詩季「そのままじゃん!」
沙夜は、トラックの荷台に貼られた『Black Cream』のシールをじっと見つめた。
沙夜「『Black』は、『黒』。『Cream』は、『クリーム』……つまり、『乳白色』の対義語……」
詩季「『黒』と『白』……」
詩季は、自分の能力を活かして、音の波長を分析するように、言葉の波長を分析した。
詩季「『Black Cream』……『ブラック』……『クリーム』……」
沙夜「『Black』は、『闇』。『Cream』は、『精髄』、『最良の部分』……」
その時、沙夜の脳裏に、結衣が以前話していた、組織の噂が蘇った。
沙夜「……!『Black Cream』は、組織の最高機密……『黒い精髄(エッセンス)』。つまり、『人工魔族の核』のことよ!」
詩季「人工魔族の核……!?」
沙夜「結衣は、『魔法石の製造工場』に連れて行かれて、そこで『人工魔族の核』の研究に使われるかもしれない……!」
みー「にゃー、ゆいが危ないにゃ!急ぐにゃ!」
みーちゃんは、再び急加速し、トラックの真後ろに回り込んだ。
詩季「待って、みーちゃん!どうやってトラックを止めるの!?」
みー「にゃ!音と霧の力を使って、トラックをスリップさせるにゃ!」