テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

その夜はやけに風が強かった。障子の隙間から差し込む月明かりが、やけに白く、鋭く感じられた。

俺の体の奥で、何かがじわじわと膨らんでいく。

爪が伸び、耳が尖り、呼吸が荒くなる。


「健さん……?」

あんたの声が遠く聞こえた。

返事をしたかったのに、喉から漏れたのは低く唸る音だけ。


来た。

俺の理性を食い破る、呪いの夜が。


視界が滲む。

骨が軋む音と共に、背中が盛り上がり、銀色の毛が生えそろっていく。

牙が口の端から覗き、瞳は黄金に染まる。


「あ……」

あんたが一歩後ずさった。

その瞳に、恐怖が走ったのを俺は見逃さなかった。


逃げろ、と叫びたかった。

でもその瞬間、窓の外から獣の遠吠えが響いた。

それに呼応するように、俺の体は完全に化けオオカミへと変わり果てた。


次の瞬間、俺は障子を突き破り、夜の森へ駆け出していた。

足音を追うように、あんたの声が響く。

「健さん!」


振り返るな。

振り返ったら、きっとあんたを……


月が、今夜も丸すぎるほどに輝いていた。

月夜に吠える、君の名を

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

14

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚