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お願い、思い出して。貴方がここに来る前、貴方自身に何があったか。何のためにここに居るか。
きっと、思い出したくない記憶もあるかもしれないけど、貴方なら乗り越えられるわ。
頑張って_
客船に乗ってから数週間。
ファルシオから聞いた話だとあともうすぐで中央の国に着くらしい、そういえば変な夢を見た気がする。内容はあまり覚えていないが、これだけは覚えている。何のためにここにいるかそう言われた。
―お知らせです。あと少しで中央の国ヘ着きます。お荷物をまとめてロビーへお越し下さい―
やっと中央の国ヘ行ける、ノアは魔龍の事は知らない。でも魔龍が自分と関係があるのなら、自分の記憶が戻るかもしれない。自分が何のためにここに居るのかも。
そしてノアは部屋の扉を開けた。
―中央の国ヘ到着しました。急がず客船から降りてください―
「ノアさんこちらへ、騎士団本部までは私が案内します」
船を降りるとそこには見たことのない金や銀や白の建物が幾つもあった。騎士団本部に行くまでファルシオさんに中央の国の色んな事を教えてもらった。
中央の国は機械技術が他の国と比べて発展して、銀や金などの金属を外装に使った建物が多く、乗っていた船も同じそうだ。船が動いている仕組みは魔鉱という種類の鉱石をエネルギー源にして動かしているらしい。
騎士団本部の事も少し教えてもらった。
中央の国の騎士団は、国を守る騎士等を集めた団体の事らしい。中央の国の騎士団の正式名称は、中央騎士団本部という名前らしい。
「ノアさん、緊張しますか?」
「まぁそうですね」
ゴロゴロと空が鳴っている、空が黒い雲で覆われ今直ぐにでも大雨が降りそうだ。
「早く騎士団に行きましょう」
「着きました、ここが中央騎士団本部です」
「入りましょうか」
外装は城の様な大きな建物だったが、内装は客船と殆ど同じだ。
「ファルシオおかえり〜」
「ファルシオ様、セイレス様が呼んでおりました」
「はぁ…またか。ネロ、シルクありがとう今すぐ行くよ」
ファルシオに先に話しかけた青年はネロ、一つに結んである長い金髪と、冬の夜空の様な鮮やかな濃い青色の瞳でスラッとした体型で周りからも羨ましがられるであろう美青年だ。
その隣にいる青年は シルク、短くくすんだ薄い赤毛で髪と同じ色の翼が背中に生えている、ネロとは違い、夏の快晴の様な色の瞳だ。体は細いが騎士としての筋肉はついている様に見える。ほぼネロと同い年だろう。
「それだったらどちらか、ノアさんを団長の部屋へ連れてってくれないかな?」
「じゃあ私はここで、ノアさんを頼みましたよ」
ファルシオはそう言うとバタバタと走っていった。 しばらく沈黙が続いたあとネロはこう言い放った。
「じゃシルク頼むよ」
「えっオレ一人ですか?」
「そうに決まってるでしょ?だってどうせ俺が 一緒に行ったら団長サマの機嫌損ねるだけだしぃ」
「お前も分かるだろ?今のあいつは通常よりも機嫌悪いし、俺を視界に入れただけでも怒りそうでしょ」
会話を聞くとネロと団長の仲が悪いのが分かる。視界に入れただけでも怒られるってどれだけ仲が悪いんだろうか。
「俺残ってる仕事あるからじゃあね〜」
「なっ オレだって仕事が…」
そう言いネロは去っていった。シルクはため息をつき、今更ノアを思い出したかのように喋り出す。
「あっすみません、置いてけぼりにして…オレの名前はシルク・ディライナーです」
「取り敢えず…団長の部屋へ行きましょう」
「ここが団長の部屋です」
シルクは豪華な装飾の木造の扉をコンコンと叩いた。部屋の中から誰かの声がすこし廊下に響いた。
「誰だ」
「四番隊の者です。ノア様をお連れしました」
「……入れ」
少し黙ったあとそう答えた。
ぎぃと大きな音を立て、大きな扉が開く。
「始めまして、俺は中央騎士団本部団長…
シヴェル・レディーアテインだ」