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れもんてぃ🍋
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無限城の窓ひとつない闇の中で、二人が幾度目かの絶頂を迎え、固く繋いだ指先に力を込めたその瞬間、奇跡とも呼べる異変が起きました。童磨の強大な鬼の血と、上弦の零として新生したしのぶの特異な体質、そして二人が魂の底から混ざり合った瞬間に生じた爆発的な生命エネルギー。それが、千年以上どの鬼も成し得なかった「太陽の克服」という進化を、二人の身体に同時にもたらしたのです。
「ねえ、磨さん……。なんだか、身体がとても軽いわ。今まで私たちが縛られていた『呪い』のようなものが、綺麗に消えていくのがわかるの」
しのぶは、繋いだままの手を自分の胸元に引き寄せ、不思議そうに己の掌を見つめました。その肌は、以前よりも透き通るように白く、それでいて生きる力に満ちた瑞々しい輝きを放っています。
童磨もまた、自らの中に起きた決定的な変化に、子供のような純粋な驚きと歓喜の表情を浮かべました。
「本当だ……。しのぶちゃん、僕たちはついに『無惨様』さえ超えてしまったみたいだよ。もう、あの冷たい夜の城に隠れている必要なんてないんだ」
二人は固く手を握り合ったまま、無限城の最上階、外の世界へと通じる重い扉を押し開けました。
そこには、東の空から昇り始めたばかりの、鮮烈で力強い旭日が広がっていました。本来ならば、鬼の肉体を塵へと帰すはずの浄化の光。しかし、二人がその光を浴びた瞬間、肌が焼ける痛みはなく、ただただ心地よい春の陽だまりのような温かさが全身を包み込みました。
「暖かいわね、磨さん。太陽の光って、こんなに優しかったのね……」
しのぶは、眩しそうに瞳を細め、隣に立つ夫の顔を見上げました。日の光に照らされた童磨の虹色の瞳は、夜よりもずっと美しく、宝石のように煌めいています。
「そうだね。これからは、二人でどこへでも行ける。昼の街も、花の咲き誇る丘も、光に満ちた世界全てが僕たちの庭だ」
二人は朝日の中で、もう一度深く、誓いの口づけを交わしました。太陽さえも味方につけた史上最強の「夫婦鬼」。彼らを縛るものはもう何もありません。
しのぶは童磨の腕に寄り添い、光り輝く世界を一望しながら、残酷なまでに美しい微笑みを浮かべます。
「ええ、行きましょう。二人で、永遠に続く光の道を」
繋いだ手は二度と離れることなく、太陽を克服した二人は、光り輝く新世界へと堂々と足を踏み出していきました。夜の支配者から世界の支配者へと進化した二人の前には、ただただ明るく、そしてどこまでも自由な永遠が広がっていました。