テラーノベル
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何があるかわからないから、海斗は奏舞の家に預かってもらうことになった。こんなとき、普通は祖父母の家を頼るのだろう。
「愛楽、先に言っておくとKEELの人たちはなんというか…雑だから気をつけて」
「わかった」
何をどう気をつければいいかは全く分からないけどとりあえず警戒してレヴィの後をついて行く。
裏路地に入り、ランダムに右へ左へと曲がっていく。このままだと道が分からなくなってしまう。私一人ではここへ来ることはできないなと思う。
しばらくして、看板がある扉の前に立つ。看板にはBARと書かれていて、今は準備中となっている。レヴィは迷わず扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
「ミミカ」
「どうぞ」
ミミカ、というのは何かの合言葉なのだろう。店員はグラスを磨きながら奥の扉へ案内した。私はそのままレヴィに着いていく。途中、店員にすごく見られたのは気のせいということにした。
奥の扉を開けると、そこには螺旋階段があった。
「この階段仕掛けがあるんだよね。とりあえず俺と同じ場所を踏んで」
「わかった」
私はレヴィの足元だけを見て歩いていく。手すりに触れようとしたら、レヴィが私の手を握った。
「手すりには毒が塗られてることもある。高いのが怖いならこれで」
「わかった」
やっぱりレヴィは優しい。最初の頃とは大違いだ。
階段の途中でレヴィが足を止める。でも、そこに続いているのは窓だけだ。レヴィはそれに構わず窓、と思っていた偽装の扉を開ける。
「すごい…」
「愛楽、たぶん御神さんたちはボスに愛楽のことを紹介してない」
「え“?」
「だから、まず俺たちがするべきことは愛楽が無害な人間だって証明すること」
「わかった」
任せて、と言おうとしてやめた。それよりも言わなければならないことができたから。
「レヴィ、後ろ…!」
「ぐッ…!」
縄で首を吊られ、レヴィは宙に浮いた。幸い、腕を首と縄の間に挟んで窒息は阻止しているけど、これも時間の問題だ。こんな仕掛けが最後にあるなんて思いもしなかった。
私は縄を掴んでいる女を睨んだ。
「レヴィを離して」
「あなたは誰?」
「私は、御神安楽。レヴィのペアだよ」
「そんな情報信じるとでも?」
「丸腰だよ。早くレヴィを」
「なーんて、うそうそ!ごめんねぇ愛楽ちゃん」
「へっ?」
急に笑顔になったその人は、手を離してレヴィの縄を自由にした。レヴィは咳き込んで、すぐに首から縄を外す。
「レヴィ〜、アンタこんな仕掛けも気づけないとか、腕落ちてんじゃないの?」
「うるっさいな…」
混乱する私を置いて、2人は仲良さそうに話している。すると、女の人が私に気づいて笑って説明してくれた。
「ごめんね、私はまきを。ここの管理を任されてるの。御神さんたちの娘さんよね」
「なんで知ってるんですか」
「そりゃああの二人がここに来る時毎回話してるからねー。君と海斗くんのこと」
「無駄話はそんくらいにして、ボスに会わせろ」
「やぁねぇレヴィ、口の利き方もう忘れちゃったの?」
「そーゆー喋り方うっざ」
出会った頃のレヴィに似ている。でも、ちょっとだけ優しい、今のレヴィにも似てる。
「まったくも〜!そういう子にはお仕置しなきゃ♡」
「えっ、おい…待て!やめろッ!!おい!」
「愛楽ちゃーん。ボスは廊下の一番奥の部屋にいるからねぇ〜」
「離せッ💢離せぇぇえええええ!」
レヴィの叫び声と共に、まきをさんは暗い方へ消えていった。
私は廊下を見て、1呼吸置き、一歩を踏み出した。
輝瀬黒(ペア画中
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コメント
1件
うわ、第35話、めっちゃ面白かったです…!KEELの拠点に潜入するシーン、一枚一枚仕掛けが剥がれていく感じがたまらなかった。螺旋階段の毒塗り手すりとか、まきをさんの急な“お仕置き”とか、レヴィのギャグ要員っぷりが笑えるけど、最後の「一歩を踏み出した」で一気に空気が変わるのが上手い。愛楽がレヴィを「優しい」って認める流れ、じんわり来ました。御神夫妻が二人のことを話してたって伏線もグッとくる。次が楽しみで仕方ないです!