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まきぴよ
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おはようございます☀ 一気に読みました。 神様の力加減誤ると凄いことになるのですね。 後半は楽しい鬼ごっこ😆 2人には大変だけど 読んでるこちらは笑える楽しい😀 読み応えすごくあります。 続き待ってます♪
目覚めてすぐにみら様と出会える幸せ😊✨️と毎日🖤💚補給出来る幸せ…💕🫶最近🖤💚は読み専になりつつあります☺️
その日。
阿部は一人で縁側に座っていた。
庭ではあの子犬が、落ち葉の中を楽しそうに走り回っている。
赤。
黄色。
橙色。
小さな身体が何度も葉っぱに埋もれる。
「ふふっ」
阿部は思わず笑った。
「何してるの」
穏やかな昼だった。
その時。
ぞわり。
背中を嫌な感覚が走った。
「……?」
風が止まる。
鳥の声も消える。
子犬が突然動きを止め。
小さく唸った。
阿部は顔を上げる。
何か変。
結界。
昨日、目黒に見せてもらった。
屋敷を守る境界。
それが今。
一瞬、裂けたような気がした。
立ち上がろうとした瞬間。
後ろに気配。
身体が固まる。
ゆっくり振り返る。
そこに女が立っていた。
夜のような紫の着物。
長い髪。
美しい。
でも。
目黒とも涼太とも全く違う。
ただ立っているだけなのに。
息が詰まりそうだった。
神様の力なんて詳しく分からない。
それでも。
目黒より。
涼太より。
圧倒的に強い。
女の神様は阿部を見て、少し首を傾げる。
「君」
阿部は返事ができない。
「君の主は」
「どこに行ったの?」
主。
目黒のことだと分かった。
でも何と答えればいいのか分からない。
女の神様が一歩近付く。
空気が重くなる。
阿部は無意識に後ろへ下がった。
「怖がらなくても」
「食べたりしないよ」
余計に怖くなった。
「ふっか」
突然、別の声。
廊下の向こうから翔太が歩いてきた。
「あんまりいじめないで」
「いじめてないよ」
「顔がもう怖いんだって」
「普通の顔だけど」
「その普通が怖いの」
翔太は阿部の隣まで来る。
「勝手に結界破って入ってくるし」
「開け方知らないから」
「絶対知ってるでしょ」
「面倒だった」
「ほら」
阿部は二人を交互に見る。
翔太が笑った。
「あべちゃん、大丈夫」
「この人、怖いけど悪い神様じゃないから」
女の神様が眉を上げる。
「怖いって二回言った」
「事実だから」
翔太が女の神様を示す。
「深澤」
「ふっかって呼んでる」
深澤は少し頭を下げた。
「よろしく」
阿部も慌てて頭を下げる。
「よろしく……お願いします」
「そんな固くならなくていいよ」
そう言われても無理だった。
目黒とは違う怖さ。
何を考えているかではなく。
存在そのものが強すぎる。
翔太が少し笑う。
「ふっかはね」
「長く生きすぎて暇なんだよ」
「言い方」
「違う?」
「違わないけど」
「暇……?」
阿部が目を瞬く。
「長い年月持て余してるから、弟子育てたりしてる」
深澤が縁側へ座る。
「暇って言われると嫌だな」
「事実でしょ」
「まあね」
阿部も少し離れて座った。
「涼太もめめも」
翔太が続ける。
「ふっかに力の使い方教えてもらったんだよ」
「二人とも?」
「うん」
深澤が頷く。
「力の出し方とか抑え方とか」
「周りに影響が出ない加減とかね」
阿部は驚いた。
あの二人を教えていた人。
改めて見ると。
やっぱり怖い。
「舘さんは覚えるの早かった」
深澤が言う。
「加減も上手いし、人間の暮らしも見てたから」
「めめは?」
翔太が楽しそうに聞く。
深澤は一瞬黙り。
笑った。
「見捨てた」
「え?」
「全然加減覚えないし」
「教えても『分かんない』って言うし」
「面倒になって途中で見捨てた」
阿部は数秒黙り。
思わず笑ってしまった。
「ふふっ」
「何?」
「……めめらしいなって」
翔太も笑う。
「でしょ?」
深澤が阿部を興味深そうに見る。
「ちゃんとめめのこと分かってるんだね」
「……最近」
「色々教えてもらってるから」
「ふーん」
妙に意味ありげで。
阿部は目を逸らした。
翔太が聞く。
「で、何しに来たの?」
「めめにお説教」
「……説教?」
阿部が不安になる。
深澤は指を一本立てる。
「まず、生贄拾ったでしょ」
二本目。
「村、壊したでしょ」
阿部の表情が曇る。
深澤はそれに気付いた。
「別に君を責めに来たわけじゃないよ」
「決めて力使ったのはめめだから」
「そうそう」
翔太も頷く。
「めめが悪い」
「全部?」
「全部ではないけど」
深澤は庭を見る。
子犬が少し離れたところから警戒している。
「人間を拾うこと自体は珍しくない」
「翔太もそうだったし」
「でも」
声が少し低くなる。
「拾ったなら責任持たないと」
阿部が深澤を見る。
「人間は神様よりずっと弱い」
「力も」
「身体も」
「時間も」
「だから気まぐれで連れてきて」
「飽きたから捨てるなんて駄目」
阿部の胸がざわつく。
目黒は。
飽きたら自分を捨てるのだろうか。
深澤が阿部を見る。
「まあ」
「今のめめ見てる限り、飽きる感じじゃないけど」
「え」
翔太が吹き出す。
「それはそう」
「毎日あべちゃんの話しかしてないもん」
「翔太」
阿部が睨む。
「本当じゃん」
深澤が楽しそうに笑った。
「へえ」
「めめがねえ」
阿部の顔が少し熱くなる。
「それより村の方でしょ」
翔太が話を戻す。
「そう」
深澤の雰囲気が変わる。
「力が強い神様が」
「感情のまま村一つ潰すのは、さすがにね」
阿部は膝の上の手を握る。
「あれは」
「俺が」
「いいよって言った?」
深澤が先に言った。
阿部が黙る。
「聞いたよ」
「……誰から」
「この辺の風」
やっぱり怖い。
「でも」
深澤が阿部を見る。
「君が言ったからって」
「めめが何してもいいわけじゃない」
「力持ってる方が止まらないと駄目なんだよ」
その言葉は目黒へ向けたもの。
でも阿部にも少し刺さった。
「だから説教」
翔太が笑う。
「めめ逃げるんじゃない?」
「逃がさないよ」
「怖」
深澤は涼しい顔をしている。
そして思い出したように言った。
「あ」
「もうすぐ照も来るよ」
翔太の顔が一瞬止まり。
すぐ笑った。
「あー怖い怖い」
「照?」
「また神様?」
「神様」
「強い?」
翔太と深澤が顔を見合わせる。
「めめ」
「終わったかも」
「そんなに?」
深澤が笑う。
「照、真面目だから」
「俺より説教長いよ」
阿部は思わず目黒のいない方向を見る。
少しだけ心配になる。
そんな自分に気付き。
ほんの少し戸惑った。
深澤はそれを横目で見て。
何も言わず笑った。
遠く。
結界の外。
空気が震えた。
今度は深澤とは違う。
重く。
真っ直ぐな気配。
翔太が庭の向こうを見る。
「……来た」
深澤が楽しそうに立ち上がる。
「じゃ」
「めめ探そうか」
阿部はなぜか少しだけ。
目黒を庇いたくなっていた。
深澤が山へ向かって少しして。
遠くからものすごい音がした。
「……何?」
翔太が庭を見る。
「あ」
「始まった」
「何が?」
「鬼ごっこ」
また大きな音。
山の一部が揺れ。
鳥が一斉に飛び立つ。
「……あれが?」
「うん」
「ふっかが鬼」
「めめが逃げる方」
「鬼ごっこの規模じゃないでしょ」
翔太が笑う。
「神様だから」
「便利な言葉だね、それ」
その時。
廊下の向こうから足音。
「阿部」
涼太だった。
その隣にもう一人男がいる。
背が高く。
凛として。
落ち着いた雰囲気。
強い。
でも深澤のような圧ではない。
むしろ。
大きな岩のような安心する気配。
涼太が紹介する。
「照」
男が小さく頭を下げた。
「岩本照」
「よろしく」
「阿部です」
「よろしくお願いします」
照が少し眉を寄せる。
「敬語やめて」
「でも」
「神様だし」
「それ言ったら」
照が少し笑う。
「ここにいるの、ほとんど神様だから」
阿部は少し迷う。
「じゃあ……照?」
「うん」
優しく笑う。
「それでいい」
その瞬間。
また山の向こうから大きな音。
木が何本かまとめて倒れる。
阿部が目を見開く。
「……大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないね」
照が静かに答えた。
翔太が吹き出す。
「後で直させるから」
「誰に?」
「壊した二人に」
照は縁側へ座る。
阿部も隣へ腰を下ろした。
「照も、ふっかの知り合い?」
「うん」
少し考えて。
「元教え子」
「教え子?」
「俺も昔、ふっかに力の使い方教わった」
翔太が補足する。
「ふっか、弟子育てるの好きだからね」
「じゃあ館さんと、めめと、照」
「みんな?」
「うん」
「時期は違うけどね」
阿部はまた山を見る。
遠くで紫色の光。
その直後。
紺色の影が斜面を走り抜け。
岩肌が砕けた。
「……」
照は小さくため息をつく。
「ふっか楽しんでる」
「怒ってるんじゃないの?」
「怒ってるよ」
「怒りながら楽しんでる」
「器用だね」
「昔から」
翔太が笑う。
「めめ、捕まったら終わりだね」
阿部は少し心配になる。
照が阿部を見る。
「ところで」
「ふっか、怖かった?」
「……ちょっと」
「だよね」
照は困ったように笑う。
「最初みんなそうなる」
「でも」
「あんまり怖がってると、ふっか悲しむから」
「え?」
「悲しむの?」
「うん」
「全然そんなふうに見えなかった」
「見せないから」
照の表情が柔らかくなる。
「本人、怖がられるの結構気にしてる」
「……そうなんだ」
「だから」
少し笑う。
「ふっかって呼んであげて」
阿部は驚く。
「あの人」
「俺がそう呼んでも怒らない?」
「喜ぶと思う」
「じゃあ今度呼んでみる」
照が嬉しそうに頷いた。
阿部はふと聞く。
「照とふっかって」
「仲いいんだね」
照が一瞬黙る。
翔太がにやっとした。
「仲いいどころじゃないよ」
「翔太」
照が困った顔をする。
「?」
翔太が楽しそうに言った。
「縁」
阿部の目が大きくなる。
「え」
照が左手を上げる。
薬指に。
細い赤い光。
翔太と涼太の間にもあるもの。
「ふっかと縁を?」
「うん」
照が頷く。
「元々は教えてもらう側だった」
「でも長く一緒にいるうちに」
少し笑う。
「こうなった」
阿部は赤い光を見つめる。
目黒と自分にも。
いつか。
そんなことを一瞬考えてしまった。
その時。
山の方から爆音。
「うわっ」
遠くの木々が揺れ。
地面まで抉れている。
「……これ、本当に大丈夫?」
照は静かに山を見る。
紫と紺の光が交差するたび。
木が倒れ。
岩が割れる。
「大丈夫じゃない」
「やっぱり?」
「うん」
照が静かに言う。
「ふっかも後でお説教」
翔太が吹き出す。
「ふっかも?」
「自分も壊してるから」
阿部も笑う。
「確かに」
「何しに来たんだろ」
翔太が肩を揺らす。
「遊びに来たみたい」
照は呆れた顔。
「ふっか、熱くなると楽しくなっちゃうから」
「ふっかが?」
「普段は余裕ある顔してるけど」
「結構子どもっぽいよ」
翔太が笑う。
「本人に言える?」
「言えるよ」
「強い」
阿部も笑った。
その時。
山の向こうへ目黒が飛び上がる。
すぐ後を深澤が追う。
速すぎてほとんど見えない。
「めめ、頑張ってるね」
翔太が言う。
阿部は少し心配そうに見つめる。
「……捕まったらどうなるの?」
「説教」
「それだけ?」
照が少し考える。
「多分」
翔太が口を挟む。
「ふっかの場合」
「一回捕まえて、また逃がして追うかも」
「何それ」
阿部が笑う。
「本当に鬼ごっこじゃん」
その瞬間。
山の向こうから目黒の声。
「ふっか、しつこい!」
すぐ後。
「誰がふっかだ!」
阿部が目を丸くする。
照が小さく笑った。
「目黒、昔からふっかって呼ぶと怒られるんだよ」
「なんで?」
「生意気だから」
翔太が阿部を見る。
「あべちゃんは大丈夫」
「なんで?」
「かわいいから」
「またそれ?」
阿部は笑いながら山を見る。
その時。
目黒の姿が一瞬見えた。
必死に逃げている。
阿部は無意識に立ち上がる。
「めめ!」
遠くで目黒がこちらを見た。
阿部に気付くと。
少しだけ笑った。
次の瞬間。
深澤に捕まった。
「あ」
阿部が固まる。
翔太が吹き出した。
「よそ見した」
照がため息をつく。
「馬鹿だな」
遠くで。
深澤に首根っこを掴まれている目黒。
少し申し訳なくなる。
でも。
阿部の顔には笑みが浮かんでいた。
照がゆっくり立ち上がる。
「じゃあ迎えに行こうかな」
「二人とも正座させないと」
翔太が楽しそうに言う。
「怖い怖い」
阿部は照を見る。
穏やかで優しそうなのに。
もしかすると。
この人が一番。
逆らってはいけない神様なのかもしれない。
そう思いながら。
阿部は神様達の帰りを待つことにした。