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鴨之助
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わ
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NGS_ヘビーなしっぽ
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第31話
「俺が持ち上げるから、引っ張り出してくれないか?」
「あぁ。分かった」
そう言うと、黒猫は何キロあるのか分からない本棚を持ち上げた。俺は、ハンナを引っ張り出して、抱っこした。
ちゃんと息はある。魔力の動きは弱々しく、骨がいくつ折れているのか数えられない。
「大丈夫だ」
俺がそう言うと、黒猫は本棚を下ろし、治癒魔法と、解毒魔法をかけた。
俺は、その補助に入った。
ギーゼラはちゃんといるし、言う事を聞いて待っている。
「っ……!? ミヒャエル。マズイかもしれないっ……」
「何がだ?」
治療の進み具合は、悪いけど……そういう事か。
「傷が深くて一日では治せない。俺が近くにいたとしても、三日は寝込むし……これが失敗したら、心拍が無くなる」
俺は、頷いて作業に集中した。
それから一時間弱。
「っ……成功だ」
「はぁ〜……こんなに神経を研ぎ澄ましたのは、久しぶりだな」
「同じく」
二人で、汗をかきながら、拳をポンと合わせた。
俺はついでに、黒猫の手の傷も治した。
ふぅ。一件落……
「うぐっ……ひくっ……」
ギーゼラが一人で泣いていた。
「ギーゼラ。大丈夫か?」
「お兄様っ」
俺に抱きついた。ブルブルと震えている。
「大丈夫だ。俺はここにいる」
「ん……? 黒猫?」
どうやら、ハンナも目を覚ましたみたいだけど……ギーゼラは、魔法が暴発する一歩手前。
光魔法をかけ続けとがないと、保ってられない。
「すまない。俺は、これで……」
そう言いかけた時、笛の音が聞こえた。勿論、ハンナの笛の音だ。
え?
ハンナ……?
ギーゼラは、泣き止んですやすやと寝息を立て始めた。
「ありがとうございますっ……」
まだ痛むであろう、傷をさすりながらハンナは、微笑んだ。
「良かった。これからは気をつけろよ」
そう言って俺は隣の部屋に戻った。
次の日。
ギーゼラは俺のベッドで申し訳なさそうに座っていた。
俺は、ベットに寄りかかって寝て、今起きた。
「……お兄様。ごめんなさい」
「……? なぜ謝るんだ?」
疑問符しか、湧かない。
だって……ギーゼラを床で寝かせるわけには……
「私が勝手に来てしまって、邪魔をして、挙句の果てには……寝床まで奪って」
「ギーゼラは、ちゃんと寝ないといけないだろ?」
「お兄様だって寝ないと……」
ギュッと手を握っている。
……授業は無いし、成長期も終えたし……う〜ん……
「俺はちゃんと寝てる。座って寝るのも慣れてるし、今はこれと言った大きな怪我も無い。それにこっちの方が、何かがあった時気づきやすいんだ」
俺は笑って、ベットの上に座ってギーゼラを膝に乗せた。
「お兄様っ!?」
「ほら、大丈夫だ。近くにいる」
ギュッと抱きしめていると……ノックが鳴って、断りもなく扉を開けた。
「ギーゼラお嬢様がいました!」
父上の護衛――フリッツだった。
少しクセのかかった薄い金髪に、悠久に広がる空のような青い瞳。肌は、少し焼けていて……顔立ちがいい。
それに、未婚者だ。一緒に出かけると、色気のある女性に囲まれているイメージが強い。
俺より三歳年上。
……俺も、婚約者探しのために学校に通ってると言っても過言では無いが……
「え? 本当に誰にも言ってなかったのか?」
「……はい」
俯きながら、小さく頷いた。
……フリッツの話より、こっちだよな。うん。
「はぁ〜……まぁ、謝ってこい」
俺はため息交じりに言って、ギーゼラを下ろした。
何か、違和感がした。外から何かが来る。
「ギーゼラを頼むっ!」
俺はそう言って、ベランダに飛び出したけど……仕留め終わっていた。
仕留めた犯人は、火を見るよりも明らかだが……ハンナだ。
「珍しいですね。このくらいなら、気づかないのに」
ハンナは、目をパチクリさせながら、縛り上げている。
……何か引き締まっていたのだろうか……?
「昨日は、ありがとうございました。少し、動けるように……」
「ハンナは休んでろ。万全では無いはずだ」
そう呆れ声で言った黒猫も来た。
痩せ、た? げっそりしたきがする。
「騒がしてすまない。戻る」
黒猫は、ハンナの事をガシッと掴んで隣のベランダに飛んだ。
……嵐か。
俺は、ため息交じりに部屋に入ると……フリッツとギーゼラが、話していた。
ギーゼラが謝っているんだろう。
椅子に座った。何だか、今の一瞬でドッと疲れた。
「ミヒャエル様。お疲れのご様子ですが、横になられたら……」
「大丈夫だ。やらないといけない事が溜まってる」
「そうですか……」
ファルコは「失礼しました」と言って、ギーゼラを連れて行った。
……忠誠心の強いやつだ。
それに、魔力の動きも、大丈夫だった。
俺は、そのまま寝落ちしてしまった。
コメント
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こんにちは、寺島あおいです。 第31話、拝読しました。ミヒャエルと黒猫が必死でハンナを助ける場面、本当に手に汗握りました。「成功だ」のあと、拳をポンと合わせる仕草でふたりの信頼関係が伝わってきて、じんときました。ギーゼラが泣きじゃくるのも切なかったですが、ハンナの笛の音で眠りにつく流れが優しくて……。そしてフリッツが来ての「嵐か」というミヒャエルの呆れ(笑) 読後感が温かかったです。続きが気になります!