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とある飲食店。
「ありがとうございましたー」
昼食をすませた柳木が出てきた。
「ふぅ……やっぱりここの炒飯最高だな」
ここは、京葉街。崩壊した関東で新たに作られた地域である。住宅街の他にも様々な飲食店が並び、政府軍の軍人もよくこの街に昼食をとりに訪れるのだ。
柳木はついでに見回りをして戻ろうとした。その時、彼の携帯が音を鳴らした。
「……士屋中尉か」
彼が電話に出ると、いきなり士屋の声が響いた。
「すまん柳木! お前京葉街にいるんだよな?」
「まぁ、そうですね」
士屋は少し困ったような声色だった。
「実は、そこに住んでいる作家さんが今日取材に来る予定なんだが……なかなか来なくてな。何かあったんだったら困るし、探してくれないか?」
「はぁ、わかりました」
柳木は通話を終わらせると、携帯をしまう。思えばここは、空銃時会の支部があったはずだ。
「何か面倒ごとになってなかったらいいんだけど……」
「いやっ……やめてよ!」
一人の女性が、二人の男に迫られていた。
「お前作家なんだろ? たくさん金持ってんだろ。ちょっとくらい俺らにくれよ」
「いやよ! 金なら自分で稼いだらどうよ!」
女性は例の作家。男達は空銃時会の構成員だが、彼女は強気な姿勢を崩さない。
「じゃあ死体になってくれ。金はそれからだ」
「ひっ……」
男達は拳銃を取り出した。それを彼女の眉間につきつける。
そして、引き金を引こうとした……その時。
ズアッ!!
「がっ!」
男の一人の首が飛んだ。血しぶきを巻き上げながら胴体が倒れる。その後ろには、柳木。
「……間に合ったか」
「せ、政府軍!」
残った片方の行動は早かった。作家の頭に銃を当て、彼に向かって叫ぶ。
「ぶ、武器を捨てろ政府軍! こいつの頭が吹き飛んでもいいのか!」
「人質とは、とことん腐ってるな」
男の指は今すぐにでも引き金を引ける状態だった。うかつに動けない。
柳木が武器を捨てる……しかし、彼の目が何かを捉えた。それは、男の後ろからヌッと出てきた影。そして……
「ごけ!」
影がくり出した手刀。それはなんと、男の胴体を切断したのだ。
影に光がさし、その姿が鮮明になる。
それはメガネをかけた、糸目の白人の男だった。
「スオウさん!」
途端、作家がその男に抱きつく。
「すいません詩織さん。また迷子になってしまいました」
スオウと呼ばれた男。彼は柳木の方に目をやると、頭を下げた。
「政府軍の方ですね。詩織さんを助けようとしていただき、ありがとうございます」
「え……あ、いや。民を守るのが仕事ですから……」
一応柳木は士屋へと連絡を入れた。
[中尉、作家さん見つけました。空銃時の奴らに襲われてましたので保護しました]
〈そうか、なら良かった。本部まで送って差し上げろ〉
その時、彼はちらっと作家を見る。
顔に空銃時会の男の血がついているが、気にしている様子はない。それに、スオウという男も変わっている。変わりすぎている。少なくとも柳木は手刀で胴体切断をできる人間を見たことがない。
(でも……こんなこと聞くのは迷惑か)
彼はとりあえずその事について考えるのをやめ、二人を本部まで送り届けることにした。
この二人も、これからの物語に関わっていく。