むかしむかし、町のそばに 小さな山が ありました。
その山には「化けものが出るんだよ」と
子どもたちの あいだで ひそひそと うわさが 流れていました。
ある日、好奇心のつよい男の子が そのうわさを たしかめに山へ入りました。
木々のあいだから、ふわりと光がこぼれ―
とても きれいに光る化けものが あらわれたのです。
それは息をのむほど美しく まるで空の向こうから来た 神さまのようでした。
男の子が見とれていると、化けものはやさしく近づき あっというまに 男の子の首を 切り落としました。
そして朝になると 山の奥には 新しい光がひとつ 静かにゆれていたそうです。
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「ねぇ…もう帰ろうよぉ……」
ゆりねが小さな声で言いました。
「だいじょうぶだって、ほら、手つなごう」
「で、でもぉ…噂だってあるじゃない、お母さまから 行ってはダメって 言われてるし……」
「そんなのただの噂でしょ!それにほら、私たちもう 学校で魔法を ならったんだから、自分の身 くらい守れるよ。 」
よつばは自信げに言いました。
「それに四つ葉のクローバー ここら辺にしか 生えてないんだもん。少し奥に 行くくらい、なんてこと ないよ。」
「うぅ…わたしは言ったからね。」
カサカサとなる 乾燥した葉っぱを 通り抜けて、2人は奥に進みました。
「ねぇ、なんだか静かじゃない?」
「そうかな、怖がりすぎてそう思うだけだよ」
よつばが少しいじわるそうに言った
「もう、そんなんじゃないよ。」
くすくすと小さい声が森に響く
ーふと、よつばが言った。
「ねぇ、あれ何かな」
よつばの人差し指が指す方には、白い光がぽうっと葉っぱの間からこぼれている。
「なにあれ……うぅ…ねぇもう帰ろう?四つ葉のクローバーなんて 町の近くでも見つかるよ」
「じゃあ私だけ見てくる!いちごは先に帰ってていいよ」
よつばは ずんずん と光の方へ進んでいってしまいました。
「あっ ねぇ! ちょっと待ってよ!」
ゆりねも後を とてとて と追いかけます。
けれど急に よつばが立ち止まり ゆりねはよつばの背中に はなをぶつけてしまいました。
「あぅっ」
「ど、どうしたの?」
「……」
よつばは返事をしてくれません。
「なにを、みて…………」
よつばの見ている方へ目を
やる
と、
それはそれは
神秘的で
いろいろな色が混ざった
とてもとても美しい。
綺麗な色をした、神々しい”ナニカ”が立っていました。
いえ、
正確には
そこに浮遊していました。
ナニカが身につけている 服はひらひらと レースカーテン のようにゆれていて
とてもきれいなのです。
けれど、どこか ぐちょぐちょとした、自分の中の トラウマを掻き回されるような 恐怖心が一気に上回り
頭の血の気がサーーっとひいて、冷や汗がじんわりと ではじめました。
「ひ」
ただでた声はそれだけで
その後一瞬にして となりにいる親友の首がはねるだけでした。
「 」
ただ涙が頬をながれていきます。
自分がなぜ泣いているかもわかりません。
頭が追いついていないのです。
自分の本能が 涙をながそうと せっせと 働いているのです。
目の前の親友は どんどんあのナニカと同じような 形に変わっていき
やがて同じバケモノになり
わたしは わけもわからないまま
元親友のバケモノに、首を跳ねられて死にました。
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