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その瞬間。
朧の目が僅かに細くなる。
嬉しそうだった。
「……もっと触れていいか」
低く囁かれ、湊は顔を赤くしたまま、小さく頷いた。
湊は朧の胸へ額を押しつけたまま、熱い呼吸を繰り返していた。
朧の指が背中をゆっくり撫でる。
優しい。
けれど、その触れ方が余計に身体を熱くする。
「……っ、ぁ……」
湊は漏れた声を聞き、嬉しそうに目を細めた。
長い指が腰へ回る。
逃がさないように、けれど壊さないように。
湊は主人公の耳元へ顔を寄せ、低く囁く。
「力、抜け」
その声だけで身体が震えた。
湊は恥ずかしそうに朧の肩を掴む。
「……む、り……っ」
「大丈夫だ」
朧は何度も安心させるみたいに髪を撫で、額へ口づけを落としていく。
湊の呼吸はどんどん乱れていった。
「ぁ……っ、は……」
朧は主人公の反応を確かめるように、ゆっくり身体を寄せる。
熱い。
近い。
その瞬間、湊の肩がびくりと震えた。
「っ……ぁ……!」
朧の腕がすぐ背中を支える。
逃げないように。
怖がらせないように。
朧は湊の額へ触れながら、小さく囁いた。
「痛いか」
湊は涙目のまま、朧の服をぎゅっと掴む。
「……へい、き……」
強がりだった。
鬼はすぐに動かない。
湊が慣れるまで、何度も背中を撫で続ける。
優しく。
甘やかすみたいに。
やがて湊の身体から少し力が抜けると、朧は安心したように息を吐いた。
「……いい子だ」
その言葉に、湊の顔がさらに赤くなる。
提灯の灯りが揺れる中、二人の荒い呼吸だけが静かな部屋に響いていた。