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れな
かわいこちゃんからリクエスト⊂( ᴖ ̫ᴖ)⊃
遅れてごめんよ😭😭
赧藐
♡ ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ♡
大学の廊下は いつも わちゃわちゃしていて騒がしかった。
その中で俺は 1人だけを見ていた。
「なつ先生、!!」
「あー⋯えっと⋯、」
正直何度声をかけたことか。何度も声をかけているのに名前すら覚えられなくて。
それでも俺は気付かないふりをし、笑顔を造った。
「なつ先生、質問いーい?」
本当は質問なんぞ、どーでもよかった。ただなつ先生と話したいだけ。
誰にも取られたくないだけ。
ただ、長く話したかっただけ。
「おっ、いいよ笑」
優しい声。
でもその優しさの声が俺だけのものじゃないことぐらい理解してる。
それでも、声をかけるのは辞められなかった。
廊下で先生を見つけては走って、話しかけて。
少し話せたからって、1人で喜んで。
「先生って、優しいですね。笑」
「まあ、それなりに?笑仕事だし。」
軽く流されるだけでも嬉しかった。
少しでも いるま という存在を見てくれてる気がして。
ある日、偶然聞いてしまった。
「ねー、先生?この後奥さん迎えに行くんでしょ?笑」
「まあ、子供も待ってるし。」
奥さん。
子供。
この言葉がどんなにも羨ましくなったか。
それから俺は、大学に行けなくなった。
布団の中で只々ずっと、天井を見つめるだけ。
時間の感覚なんてとっくに無くなっていた。
朝なのか夜なのかもわからないまま、スマホの通知で画面が何度も光る。
でスマホを開く気にはなれなかった。
「……はは、」
乾いた笑いが漏れる。
期待してた自分がバカみたいで笑いと同時に怒りも出る。
先生はちゃんと帰る場所があって。 待ってくれてる人もいて。
それに比べて俺は、ただの1人の生徒でしかなくて。
「…そろそろ行くか。」
ぽつりと呟いた。
もしかしたら、もしかしたら少しくらいは。
なつ先生も心配してくれてるかもしれない。
そんな淡い期待を、まだ捨てきれなかった。
久しぶりの大学は何も変わっていなかった。
相変わらず廊下は騒がしくて、笑い声が飛び交っていて。
まるで自分だけが取り残されたみたいだった。
それでも目は自然とあの人の姿を探してる。
「…あ、なつ先生」
見つけた瞬間、体が自然と動いた。
「あ、ごめん、…んーと、?何組の子?」
その一言で全部が止まった。
「っ…、」
喉が締めつけられるみたいに苦しくて。
あんなに毎日話しかけてたのに。
あんなに毎日のように声をかけていたのに。
覚えられてすら、いなかった。
「あ、新入生?授業なんかわかんない事あった?」
優しい声のはずなのに、今はただ遠くて。
「っ…あー、すいません、なんもないです、笑」
無理やり笑って、その場を離れた。
足が震えてうまく歩けない。
視界も滲んで、前が見えないのに。それでも止まれなかった。
外に出て瞬間、強い雨が俺を叩きつけた。
「…っ、はは、」
情けなさで笑えてくる。期待していた自分がばかみたい。雨に打たれながらそのまま歩き続ける。
どこに向かうのかもわからないまま。
戻る場所なんてないってこと。それだけは分かってた。
「ああ、冷たいなあ。…笑」
雨は降り続けていた。
どれくらい時間が経ったかもわからないまま。外はすっかり暗くなっていた。
「…あれ」
俺はふと、足を止めた。
視界の端に映った、小さな影。
「おい、大丈夫か…?」
近づいて、しゃがみ込む。
見えた顔に息が止まった。
「っ…、お前、」
何度も話しかけてきた生徒。
なまえは思い出せないのに、その顔だけはやけに覚えていた。
「…なんでこんなとこで、」
返事はない。肩を揺らしても何も返ってこない。
おそるおそる、俺は頬に触れた。
「…冷た、」
前みたいに、鬱陶しいくらい話しかけてこいよ。
そう思っても何も起きない。
覚えようともしてなかった名前を今はひたすら思い出そうとする。
「…ごめんな、」
何に対してのごめんかもわからないまま呟く。 頬に触れたままの手が、離せなかった。
「こんなに冷たくなるまで放っておいてごめん。」
ぽろりと涙がおちる。その涙は雨に紛れて消えてった。
その夜、俺は初めて自分が失ったものの重さを知った。
𝓮𝓷𝓭 …♥
コメント
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えーーもーー大好きです🫶💕︎︎ ブクマ失ですー!