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何度かの呼び掛けで薄っすら目を開ける渡辺。目黒は思わず頬を叩いた。

目黒ー何やってたの！

渡辺ー・・。

目黒ー海に入ってどうするつもりだったの！？

渡辺ーもう・・消えたい。

目黒ーバカなこと言わないで。

渡辺ー自分に呆れてる。

目黒ー何でここの海？

渡辺ー楽しい思い出があるから。

目黒ーお婆ちゃんの海に何で行かなかったの？

渡辺ー2人で行く約束したから。

目黒ー帰ろう？

渡辺ー・・。

目黒ー2人で帰ろう？

渡辺ー俺、まだ一緒にいていいの？

目黒ー翔太くんしかいや。

渡辺はポロポロ泣き出した。

レンタカー屋さんに車を返しに行き、目黒の車で帰って来た。

目黒ーシャワー浴びて？

渡辺ー・・。

目黒ーどうしたの？

渡辺ー何で怒らないの？

目黒ー・・。

渡辺ー2度目だよ？

目黒ーシャワーから出て来たら、たっぷり叱ってあげる。

渡辺ー優しくしないでよ。

目黒ー翔太くん？

渡辺ー・・。

目黒ーとにかくシャワー浴びてきて？

シャワーの音を聞きながら、あの海で良かったと思う。

あの海は、2人で散歩して唯一遊んだ記憶がある海。

老婆のところじゃなかったら、あそこしかない。

シャワー浴びて、置いてある渡辺の服を着て出て来た。

温かいコーヒーを飲み、目黒と向かい合う。

目黒が軽く頬を叩く。

目黒ー海は嫌い。翔太くんを連れて行ってしまう。

渡辺ー・・。

目黒ーお婆ちゃんの家の近くの海も嫌い、翔太くんを、連れて行こうとするから。

渡辺ー俺が勝手に・・。

目黒ーそれでも嫌い。それと、命を粗末にする翔太くんも嫌い。

渡辺ー嫌われて仕方ないと思ってる。だからもう・・。

目黒ー離れないよ？見張ってなきゃ何するか分からないから、ずっとそばにいる。

渡辺ーいいよ、無理しなくて。

ソファから立ち上がり、帰ろうとする渡辺を後ろから抱きしめて座らせる。

まだ、何も解決していない。

渡辺は、目黒が勘違いと言ったのに海に入った。

目黒を信じられなくなっている。

また、自分を信じていない。

ポロポロ泣く渡辺。

目黒は泣き止むまで抱きしめといた。