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その日はとても温かい日だった
だからちょーっと散歩で近所でも有名な河原にある桜並木に来てみる。
当然時期もあってか人がちらほらいるわけだが、ゆっくりと桜の間から見える青い空を見上げていた。
ふと視線を川の方へ向けるとそこには
いつも一緒だった昔馴染みの男が
目を凝らさずともわかってしまう彼は
石砂利の上で寝転がっていた
「自殺でもするつもり?」
「うわああああ!びっくりしたぁー!!!」
急に声をかけたのかもしれないが
物凄く驚かれてこっちの方が驚く
「みーんなみてたぞ?なんか変人がいるーって」
「変人じゃないし!
ちょっと、気持ちいいなーって思ってたらいつの間にか寝てただけだしー」
含羞な顔で頭を掻きながら体を起こす彼に向けて
隠し持っていた集めておいた桜の花びら花吹雪を頭の上から降らせる
「ぶふぉ!!!!??」
「あははは!!
桜の花びら似合うな!」
昔からこんなノリで遊んでたしイタズラしちゃいたくなる。
楽しくて楽しくて
川辺りに歩いていき春の陽の光に照らし出された輝く水を眺めて時期的にもまだ冷たい水を触る
「··········あたたかいね·····」
当然水は冷たい
「え?あーもしかして·····?
俺も、ずっとずっとあたたかいと思ってたよ·····」
「嘘だよ·····俺たちずっと·····」
「うん、ずっと·····友達だったな·····」
振り返ることをせず川を見つめていれば
背後から彼が水の中の手を握ってくる
「なんでだよ·····今更·····」
「んーずっと悩んでた·····のかもしれないな」
そんなつもりはなかったが、相手の気持ちがわかり
戸惑う気持ちと歓喜に
会心の笑みを漏らす
「おれは··········」
春の風に花びらが舞い
声は彼に向けて飛んでいく
彼の満面の笑顔が全てを物語っていた
含羞(がんしゅう)
恥ずかしさ。恥じらい。はにかみ。
会心の笑みをもらす(かいしんのえみをもらす)
思い描いた通りの結果となり、満足して喜びの表情をすること。
輝く
コメント
4件
うあ……。好きだ…!こういうハッピーエンド?な恋愛系大好きです!(´∀`)