テラーノベル
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連れて行かれた先では三人の、、、、
此れ又見覚えのある方々が揃っていた。
「芥川はどこだ?」
すっ、と持ち上げられるスケッチブック。
銀ちゃんだ。
”兄さんは今任務です”
素晴らしく綺麗な字。
「そうか、、、そうだな、此奴の面倒を頼む。」
”わかりました”
すぐに返ってくる返答を見て、満足したのか私をそっと降ろし、去って行った。
黒蜥蜴の人は私のことをそっとしておいてくれるのか話しかけて来なかった。
此れ幸いと状況を反芻する。
まず、死んだ。
死んで、起きて、あ、その前に死んで、転生して、が入るか。
どうでもいいや。
見た目は変わらず。
右手が疼く、ということもなく。
ストレスで胃がキリキリしているような気はするのだが。
傷は跡形もなくなっているのに制服のままで。
驚き、、、、、衝撃の連続だった。
そして中原幹部に遭遇して、、、、
黒蜥蜴に預けられている。
此処で思った。
前世の未練がない。
BEASTで太宰さんが云っていた。
”さよならを言うことができる人生は良い”
そして、
”さよならを伝えるのが辛ければ辛いほど其の人生は良い”
とも。
確かに、と思ったのを朧気にだが覚えている。
今世だけは、絶対に、しぶとく生きてやる。
やっと状況整理が終わった頃にはがくがくとしていた足の震えも収まっていて。
各々の瞳に不安の色をのせ、私を見ている三人。
さて、どうしよう。
第一声で決まる。
前世の経験を活かすべき、!
うん、私みたいな人間は伽羅を作っても演じきれないから作らないのが吉ですよ、畜生。
「こんにちは、」
此のメンバーに言うことだったかな、此れ、
「お、おう、、」
立原くん軽く引いてるよ、
「、、、」
銀ちゃんは軽くお辞儀、、、
「、、、」
広津さん、視線が痛いです。
何其の幹部がお姫様だっこで運んできた人物、、、
重要?いやだがしかしあの人なら大体の人間をお姫様抱っこするんだろうな的な考察辞めてください、、、、、、、、
「石垣葵と申します、、、皆様の名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」
うん、立場を考察されるのがめんどくさいから下手にでたよ、此れでわかったはず。
案の定すぐに広津さんの視線は柔らかいものに変わる。
「立原、立原道造だ、よろしくな」
面倒見良いかよ、!
「、、、(すっ)」
”芥川銀です”
かわいいな、もう仕草が天使、、、
「、、、広津柳浪です。以後お見知りおきを。」
何で丁寧なのッ、!?
まあいい。私は何かしらが原因でポートマフィア内部に入ってしまった只の少女。
親戚知り合い友達、、、頼れる人間がかけらも居ない世界でどう生き残るか。
そう、私はしっかりと考え、作戦を立てたのだ。
含みのある笑みを浮かべ、私は告げる。
「立原さん、後で二人になれる場所はありませんか?」
凍てついた空気を感じ取り瞬時に己の間違いに気がつく。
言い方、間違えた。
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