先輩方からどうにかこうにか逃れ、教室に戻る。その間、
何故、あの人は俺をオリエンテーションのグループに誘ったのか、
ずっと考えていたものの、特にこれといった答えは思い付かなかった。
_なんで、俺と…。
友達も先輩も後輩も、かなり多いだろう、あの人は。
教室の中でポツンと席に座っている時だけでも、「あの先輩いいよね」 という話の中で、
あの人のことは男女問わず皆話題に挙げているほど人気なのだから。
だからこそ、きっとあの人と一緒にグループになりたいという人は多いはずだ。
一々全員いるか確認するのが大変になるほど。
なのに、何故そんな中でまだあまり話したこともない、
明らかに他とはタイプの違う俺を誘ったのか。
_後悔されないだろうか。
少なくとも、俺とあの人じゃどう考えたって、 1体1で対談して楽しめる組み合わせじゃない。
松田先輩と南瀬先輩、もしかしたら他にも一緒のグループの人もいるかもしれないが、
どの人と話を交えたって、結果にさほど差は出ないだろう。
もしかしたら、「思ってたのと違った」と置いていかれるのではなかろうか、
いや、あの人の性格上そこまではしなさそうと考えても、きっと我慢させてしまうだろう。
_というか、むしろ置いてってくれよ、放っておいてくださいよ。
どうか、勝手に期待して勝手に見放すのはやめてください。
別にまだそんな末路だと決まったわけじゃない。分かっている。
ただ、そういう想像が、自然と思い浮かんでしまう。あの人達でそんな想像、失礼だ。
ただただ嫌な考えを止めない自分の頭を恨んで、恨んで、恨みまくった。
この世に無理やり思考を止められるスイッチがあればいいのに。
そんな便利なもの存在しないと分かっている。
もう諦めて、授業開始まで机に突っ伏すことにした。
時間が経ち、気付けばあっという間に放課後。練習着に着替えて、グラウンドへ。
_サッカーは楽しみだけど、先輩方とか同級生と馴染めるか…。
どうしようもない陰キャの悩みだ。考えてたってしょうがない。
とりあえず言われた通りに動けばいい、何か起きそうだったら事前に回避策を考えておけ。
そうやって、今までも平穏に過ごしてきただろ。これからも、これまで通りすればいい。
今にも緊張で全身から崩れ落ちそうな自分をなだめ、いざ、部活動に参加する_
部活も終わり、気付けば辺り一面茜色に照らされている。
今日は新一年生も加わった初めての本格的な部活動ということで、
挨拶を済ませて、サッカー初心者にもおそらく優しい軽めの練習メニューだった。
正門へ歩み始める…と、もう見慣れた髪色がこちらへ向かってくる。
いや…
_なんでいるんですか。
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