R.「…..」
適当に走った廊下を進みながら思う。
自分はどうしたいのか。
好かれたいの?嫌われたいの?
わからない。
大人になっても わからないものです
「あのキーボードミセスに居る?」
ずっと頭の中で回る言葉。
かき消そうと頭を左右に振っても
思い浮かんでしまう。
まただ。
また負のループに陥る。
でももう慣れた。
こう言われることはわかってるから。
汚れた世の中の仕組みに 嫌ってほど慣れて
いきなりストンと力が抜け、
廊下に膝をつく。
その勢いのまま壁にもたれかかる。
R.「もうやだ….消えたい….」
僕の口から発される言葉は
誰にも届かないまま消えていく。
声が届かないと諦めたのはいつだろう
心を閉ざすと同時に
体を丸め、体操座りになり
周りと自分を遮断する。
悲しみで溢れる事が無いように
ぴとっ.
R.「ひぅっ….」
さっき叩かれた頬に冷たいものが触れる。
H.「大丈夫…じゃないよね、」
膝に埋めている顔を上げると、
若井が僕に水が入ったペットボトルを
タオルに包んで頬に当てていた。
R.「わ…かいっ….」
僕は安心したのか、目から蛇口を捻った
かのように流れてきた涙に驚く。
そんな僕の頭をポンポンと撫でてくれる。
僕が最年長なのにこんな姿で
恥ずかしくて、優しくて、苦しくて。
R.「ひぐっ…ぅ゛…..ぁ゛っ….」
嗚咽で息が出来なかった。
どうやって息を吸えばいいのだろう
H.「涼ちゃん、?」
僕の異変に気がついたのか
跪き、僕の肩を掴んで顔色を伺ってくる。
僕の様子をみて、少し危ないと感じたのか
少ししかめっ面をする。
H.「涼ちゃん、俺の目見れる?」
涙で視界がぼやけるが、
目と思われる場所をじっと見つめる。
H.「落ち着いてね、呼吸しよ。
_ 吸って…..吐いて…….」
若井の声に合わせて呼吸をする。
H.「うん、大丈夫だよ。
_ 俺がいるからね。」
頭を撫でながら抱きついてくれる。
結局は気遣いさせては
あーダメだ。
若井まで「こっちの世界」
に連れ込んじゃう。
私という海を泳がせてしまって
どうしようか
2人に追いつきたくて、
2人に求めて欲しくて。
でももう疲れた。
知らないふりも疲れたよ。
背伸びが出来なくなり
目を擦って埋める足りない価値
R.「もっ…ほっといてよっ、….」
若井を引き剥がそうとする。
H.「やだ。」
僕の体をしっかり掴んで離さない。
R.「なんでっ…、」
H.「メンバーだから。」
R.「、!」
H.「涼ちゃんが離して欲しくても、
_ うざがっても絶対離さない。
_ 大事な人が悲しんでたら
_ なにがなんでも一緒にいる。」
優しいなぁ。若井は。
H.「いやぁ、元貴のビンタ痛いよね笑
_ 俺も何回かくらった事あるから
_ わかるわ笑」
R.「えっ…、やられた事..あるの、?」
H.「何回かあるよ。
_ 元貴ってね、あんだけ語彙力あるのに
_ 大事な時に手が出ちゃうんだよね笑」
R.「そんだけ仲良いのに…」
H.「..元貴は、仲良いからこそ
_ 手が出ちゃうんだと思うよ。」
R.「え、」
H.「ちょっと語弊があるけど…
_ でも仲良くない人に平手打ちなんか
_ しないでしょ笑」
R.「確かに…、」
H.「元貴は涼ちゃんの事が嫌いで
_ ぶっ叩いたんじゃないよ。むしろ逆。
_ ..涼ちゃんが、たぶん….
_ ..俺らしか求めてないって発言に
_ ぶちって来たんじゃないかな。」
R.「..だって、本当のことだし、」
また自分の気持ちに嘘を塗る。
こんなこと言って傷つくのは自分なのに。
H.「..涼ちゃん、
_ 俺の目を見てよく聞いて。」
真剣な眼差しを強いられ、 少し緊張する。
H.「俺らは涼ちゃんのことが大事だよ。
_ きっと涼ちゃんは繊細すぎて
_ 色々考えちゃうんだろうけど…
_ 俺は2人の事が大好き。
_ 元貴もそうだし、
_ 涼ちゃんもでしょ?」
R.「…うん、」
H.「涼ちゃんの事は
_ 元貴が選んだんだよ? 」
R.「、!」
H.「俺がイヤイヤ言ってる期間も
_ 元貴はずっと涼ちゃんの事を
_ 思ってた。今もだけどね。
_ そんな昔から元貴が選んで
_ 涼ちゃんはここにいるのに
_ 自分はいらない的なこと言われて
_ 悲しかったんじゃない?」
R.「…」
H.「俺はね、世界中の人から嫌われても
_ 元貴と涼ちゃんが
_ そばに居てくれたらなんでもいい。
_ 涼ちゃんは違うかもだけどね。」
R.「っ僕も..2人がいればそれでいい、 」
H.「だったらそんなに周りの目
_ 気にしなくていいんじゃない?
_ それに涼ちゃんは今ファンのみんな
_ に求められてるし。
_ ミセスには涼ちゃんが必要だよ。」
その一言で救われた。
僕、ずっと慰められたかったんだな。
最年長なのに。大人になれないなぁ。
でも心のどっかで 助けて欲しいんだろうな
R.「..僕、元貴にめちゃくちゃ失礼な事
_ 言った、若井にも..ごめんっ、」
H.「ん、全然いいよ。
_ 悩んじゃう時あるよね。
_ そういうの全部
_ 俺らが受け止めるから。
_ これからは独りで抱え込まないで、」
R.「うん、約束する、。」
H.「はい、指切りげんまんね笑」
子供みたいに小指を出し合い、絡ませる。
そんな光景が馬鹿らしくて、愛おしくて。
R.「..元貴、許してくれるかな。」
H.「大丈夫だよ。元貴と涼ちゃんは
_ ずっと親友だから。
_ 勿論俺もね。ぶつかっても
_ また元通りになれるよ。」
R.「..ありがと、若井。
_ 元気出た、笑」
H.「よかった、じゃあ戻ろうか。」
お手をどうぞと差し出してくる。
その優しさに甘えて起き上がる。
元貴への謝罪の文を考えながら
若井の手を離さず廊下をひたすら進む。
がちゃっと扉を開けると
1人で立ち往生している元貴がばっと
こちらを向いた。
その目は赤く腫れていた。
R.「元貴っ、ごめんっ、!!」
勢いよく頭を下げようとした瞬間、
元貴が抱きついてきた。
M.「涼ちゃんっ..ごめんっ、」
R.「なんで元貴が謝るのぉっ、」
M.「叩いて..ごめんっ….」
R.「僕こそ、
_ 元貴に嫌な事言ってごめんっ、!」
M.「暴力吹っかけた俺が悪いよっ…」
鼻をすすりながら僕に抱きつく元貴は
いつもの大人びた感じではなく、
母に甘える子のようだった。
僕の肩に顔を埋めて顔は見えないが、
肩に暖かいものが広がっていく
感覚があるので、
きっと涙しているのだろう。
僕のために流してくれていると考えると
申し訳ない反面、
嬉しい気持ちが隠しきれない。
自分が泣かせたのに、馬鹿だなぁ。
R.「ごめんね..二度とこんな事いわない、
_ だからもう泣かないで、?」
そういいながら元貴の頭を優しく撫でる。
貴方に刺さった棘を食べて
H.「涼ちゃんも泣いてるくせに笑」
R.「なっ..!要らない事言うな!!」
こんな嫉妬心、この2人に迷惑だ。
これだけ大事にされているのに。
僕の心は贅沢だな。
哀しいのも寂しいのも 私だけでいいのさ
M.「..仲直り、してくれる…、?」
涙目でこちらを見てくる。
R.「..僕は、したいな。元貴は、?」
M.「..俺も、したい。」
R.「じゃ、仲直りだね、!
_ ごめんね、ありがとう。」
そういいながら力いっぱい元貴を
抱きしめる。
R.「ほら、若井もこっち来て、!笑」
H.「えぇ俺もぉ?笑 いいけど笑」
だるそうにしながらも、
嬉しそうなのが丸見えだ。
H.「ほらっ!ぎゅ〜っ…!!!」
M.「ふはっ..!笑 苦しいわっ、!笑」
何にも負けないその貴方の笑顔が
M.「..ちゃんと涼ちゃんの事
_ 若井の事も大好きだからね、!」
H.「俺も笑」
R.「僕もっ、!笑」
悲しみで溢れる事が無いように
コメント
17件
天国行ってくるわ 次の作品上がったら帰ってくるわ☆
昇天
うわぁぁぁ良過ぎる泣いた😭😭