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「やぁ、こんばんは!」
パッと音がしそうなほど明るい笑顔に、明るい声。
友人の声だ。
「こんばんは。元気だね。」
微笑を混ぜつつ彼女に目を向ける。
「今日は何か写真ある?」
彼女はいつも私の写真を見てくれる。
美しい瞬間を撮った写真を。
「この前こんなところに行ってきたんだ。」
「わあ…すごい、綺麗…」
他の人は誰一人見てくれない。
ただ見てくれる、それだけで嬉しい。
「またたくさん撮ってきたんだね。」
「うん。写真は素敵な一瞬を写して、ずっと残してくれる。」
「私の記憶だからね。」
写真は全ての思い出で、記憶。
どんな場面も、綺麗な写真なら探し出せる。
「記憶、ね…。」
ボソリと友人が呟いた。
「そんな写真ばかりで、大切なもの何もかも手放してるでしょう、あなた。」
「…え?」
突飛な言葉に声が裏返った。
「一瞬を写すのもいいけど、その一瞬もっと大事にしたら?」
「あなたはもう大切なもの忘れてるように見える。」
瞬間を大切に?
…大切だから写真を撮ってるのに?
「大切なもの…って、写真だよ?記憶みたいなもんなんだから、写真が大事に決まってるでしょ?」
「あぁ、そう…」
「その記憶じゃ分からないことあるんじゃない?」
あるわけない。そんなもの。でっち上げだ。
写真を見れば、感情だって思い返せる…分からないことなんて…
「だって、私の名前言えないでしょう?」