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ちょっとラッキーな日

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ちょっとラッキーな日

1 - 赤面彼女は今日も世界一でした

♥

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2025年04月07日

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桜女体化

ひいさく♀️

付き合ってる



今日は付き合ってから何度目かの桜とのデートで、駅で待ち合わせをしてから水族館に行って帰る_というベタなデートだった。だが、今目の前の彼女は今にも泣きそうな顔をしている。


なぜこうなったのか?それは数分前に遡る



数分前の帰り道


「魚、綺麗だったな。桜は海月が気に入ったか?」


「おぅ、透明なのにフワフワ浮いてて布見てぇだった…!」


「布って…笑」


「なっ!笑うんじゃねぇ!」


我ながら普通のカップルがするような微笑ましい会話をしながら2人で駅を目指している最中、人気が少ない道から声が聞こえた。


「っ、辞めてくださいっ!離してっ誰かっ! 」

明らかに嫌がっている声だ。それを聞いた瞬間2人揃ってそちらの道へと視線を向けた。

すると俺らと同じくらいの年齢だろう制服を着た少女が明らかに柄の悪い大柄な男数人に囲まれていた。俺と桜は真っ先にその道へと向かい男達を蹴散らして行った。

無事に全員をのしたあと少女にお礼を告げられ別れた。少女の無事が確認出来たあと、彼女の桜の無事も確認する。


「桜、お前は怪我してねぇか?」


「おぅ、俺はなんとも…あっ」


桜が悲痛な声を上げる。何処が怪我をしたのだろうかと桜の視線の先を追うと、桜の着ている白いカーディガンの裾が破け、その上黒く汚れてしまっている。一先ず怪我をしている様子はないので安心した。だが、折角の洋服が破けた上に汚れてしまって顔面蒼白となった桜になんと声を掛けようか悩む。

桜は最近、椿野やことはちゃんと出かけたりすることが増え、服やコスメ、ヘアアレンジなどを勉強中で、此の間俺にもオシャレをして楽しかったことなどを熱弁してくれた。

だからこそ、折角のカーディガンがこの状態になってショックを受けた桜に対してなんと声を掛けるべきか悩んでしまった。

その間にも桜は少し泣きそうな顔になっていく。ここで最初の地点に戻る。



そんな泣きそうな状態の桜だが先程からお互い何も言えない状態になっており、ピタリとその場が止まったような感じだった。そこで、桜がボソリと1つ呟いた。


「…可愛いって、思ってもらいたくて買ったのに…」


きっと桜は無意識だったのだろう。普段だったら赤面しながら大声で投げやりに言っただろうし、そもそもこれを俺に伝えようともしなかっただろう。それだけのショックを受けているのだ。

だが、こんな状態の桜には酷く申し訳ないが俺は正直物凄く心にくるものがあった。こう、ギュッと掴まれて、暫くは離して貰えないだろうなという心にくるものがあった。


確かに、桜がオシャレをしだしたキッカケは俺に可愛いと思って欲しいから。だとは椿野から聞いていた。本人はきっと口に出すことはないだろうから、と、椿野という裏口から情報を得たのだ。


だが、最近オシャレが楽しくなってきたのは事実なので普段からオシャレをするように桜はなった。だから俺のために、というのはもうないのかもしれない、オシャレが桜の日常の1部になったのだろう。そう思っていたのだが、まさか俺の為のオシャレをしてきてくれていたとは…

あれかもしれない勝負服という物かもしれない。本当に桜には申し訳ないが目の前の可愛いの具現化が今の俺には暴力にしか感じない。先程のチンピラ共の拳なんかよりも破壊力のあるパンチを心に受けた気分だ。


「…桜…お前、可愛いな…」


「は、はぁっ!?」


急な俺からの可愛いでさっきまで青かった顔は一気に赤へと染まってしまった。それも本当に可愛いくて可愛いくて仕方がない。


「桜一先ず今日の服も凄い似合ってた。でも、そのカーディガンがそうなっちまったのはどうしようも出来ねぇから今から服屋行って別のカーディガン買わねぇか?」


勿論支払いは俺がする。そう付け足して桜を見ると服が似合っていたと褒められたことでもう一段階顔を赤くさせて弱い力で殴られた。そしてか細い声で一言。


「し、支払いは大丈夫…でも、カーディガン、新しいの買うから…まだ、デートする…」


顔を背けてポソッと発された言葉は見事に俺の心に刺さってしまったらしい。


さぁ、楽しいデートの延長だ。




END

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