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緑色の風が吹く今日、僕は今学校にいる。
何か新しい生活との出会いを期待していた自分にとって今日はとてもいい日になる、そんな気がした。
学校のチャイムがなり、僕は席に着く。
外の暖かさによって柔らかくなった大地とは裏腹に、今僕がいる空間は少しピンと張り詰めてる。
「起立。」と先生らしき人の声が聞こえた。
周りのみんなに合わせて僕は立ち上がった。
「今日は入学式があります。なので皆さんは上履きをしっかりと持っていくように。あと…」
僕には何も聞こえなかった。
入学式とやらが始まったが僕にとってはどうでもいい。偉そうな大人が色々訳のわからないことを言う。
「中学校の三年間はあっという間です。ですから
皆さんは…」
「私が中学生の頃は…」
どの言葉もまともじゃない。僕にはそうにしか聞こえないのだ。
僕は昔から効率の悪いことが嫌いだ。
大した人生経験もない大人がよくわからないことを喋っている。
この時間は全く有益ではない。
でも確かに僕は新しい生活に期待を寄せていた。
それは今までの人生の中により良いシステムを上書きするような気持ちの積み重ねの現れだったのかもしれない。
物事をうまく捉えられない僕はそう思ってしまった。
でもきっと…
こうして期待が願いに変わったのである。
「それではこれから自己紹介を始めましょう。
えーっと、まず自分の名前、そして…」
担任の先生によって自己紹介が始まった。
自己紹介は昔から緊張する。
なぜなら自分の話したことによってはじめて
聴衆は話者の情報を知るわけであるから
あたかも自分の人格がここで確定されてしまうような気がするからだ。
僕は自己紹介の内容を一生懸命考えた。
「飯坂浩太です。よろしくお願いします。
趣味は読書です。」
なんとかして普通の自己紹介をすることができた。
「飯田あすかです。よろしくお願いします。
好きなことは、えーっと、
音楽を聴くことです!」
僕の隣の席の飯田さんがあいさつが終わると
みんなが廊下にで始めた。
それに釣られて僕は席を立った。
今外は夕方である。
なぜ入学式で帰りが早いのに夕方なのかというと、ぼくは学校から家の最寄りの駅までの電車が長いためである。
これからずっとこの長い電車に乗らなければならないのかと思うと肩に錘がのしかかった気がした。
それでも外のたくさんの山に囲まれた畑の集団はりっぱに見えた。
何より綺麗であった。
僕はなんとかして錘を下ろした。
隣でイヤホンからわずかに漏れる音楽を聴きながら…