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バサッ!
夕方のぬくい風が吹き込む窓。束になった原稿用紙が十二階の窓から落ちる。
通りかかった金髪の紳士が拾い上げ周りを見渡す。どうやら落とし主はまだ周りにはいなさそうだ。なんの気なしに紳士は文にさらりと目をやった。
ザッザッ…
和装の青年がペンを持ったままあたりを駆け回っている。金髪の男の持っている原稿用紙がその視線の先に捕えられた。青年は紳士に駆け寄っていく。
アーサー「…」
紳士は言葉を失っていた。冒頭から主人公が死んでいる…。病気になり次の文にはぽっくりと。
紳士が何やら不満そうに口を突き出していると、青年が口を開いた。
菊「っあの!…そ…の、げんこ…ようし…」
息を切らし絶え絶えになりながら話す。
アーサー「これは君が書いたのかい?この主人公が冒頭からこの世を去るという…」
青年が言い終わるより先に紳士が口を開いた。
菊「!…はい…そ…ですけど…」
紳士はふっと笑って問いかけた。
アーサー「君の物語の世界に医者はいないのか?死ぬ前には出してほしいね」
紳士は軍医であった。
青年は目を見開いて紳士を見つめた。
大正浪漫パロの朝菊です!!
設定は以下の通りです⇩
アーサー
28歳
軍医
軍医学校の元エリート
事情により外出は控えている
本田菊
22歳
小説家(まだ駆け出し)
外にはあまり出ない
人と喋ると言葉が詰まってしまう
感情は文に書いて伝える