テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第88話 〚違和感が重なる夜〛(澪&海翔)
夜。
澪は布団に入ったまま、目を閉じていた。
眠いはずなのに、
意識だけが冴えている。
(……今日も、見えなかった)
妄想――予知。
頭痛も、映像も、何もない。
でも、
胸の奥が落ち着かない。
まるで、
“見えない糸”が張り巡らされているみたいだった。
その時、
スマホが静かに震える。
【海翔:起きてる?】
少し迷ってから、返信する。
【澪:うん】
数秒後。
【海翔:なんかさ】
【海翔:今日は、嫌な予感がして】
画面を見つめて、
澪の心臓が跳ねた。
(……同じ)
【澪:私も】
【澪:理由は分からないけど】
すぐに既読がつく。
【海翔:だよな】
短い言葉なのに、
そこに“共有”があった。
澪は、
勇気を出して打つ。
【澪:ねえ】
【澪:予知が、変わってきてる気がする】
少し間が空いた。
【海翔:……変わる?】
【澪:うん】
【澪:見えない代わりに】
【澪:近づいてる、って分かる感じ】
スマホ越しに、
海翔が息を呑んだのが伝わる気がした。
【海翔:それ】
【海翔:俺も、同じ】
その言葉に、
澪の胸がぎゅっと締めつけられる。
(偶然じゃない)
二人の違和感は、
同じ場所を指している。
【海翔:澪】
【海翔:無理に一人で抱えんな】
【澪:……うん】
【海翔:俺も】
【海翔:一人で守れると思うの、やめた】
その一文に、
澪は少しだけ笑った。
(変わったんだ)
お互いに。
守られる側と、
守る側じゃなくて。
(……一緒に、感じてる)
夜は、静かだった。
でもその静けさは、
嵐の前じゃない。
準備の夜だった。
澪は、スマホを胸に抱く。
(見えなくても)
(分からなくても)
(今は、独りじゃない)
同じ夜、
同じ違和感。
それはきっと――
これから起こる何かに、
二人が“同時に立ち向かう”合図だった。