???「商店街で格闘技大会するんだと!!」???「はぁ……」
???「アタシには何の関係もないわね」
???「あふほぉうひ?(格闘技?)」
ここは、生徒会室。ここには、「紅蓮先生」がまた相談しに来た。それを聴いているのはいつものように「雨花」、「橙」、「桃時」である。
雨花「うーんおいふぃ〜」
紅蓮「そうだろ!もっと食え!」
雨花が食べているのは、激辛のスナック菓子である。
橙「どうせこのお菓子も対価なんでしょ?」
紅蓮「え?」
桃時「そんでうちの運動できるんですチーム(雨花、橙、兎白、瑠璃人)に格闘技大会で優勝してその褒美が欲しいって魂胆でしょ?」
紅蓮「な、なぜ分かった!?」
橙「何故って……」
桃時「それは……」
雨花「あむおむ……」
「「賞品が、アニメの等身大パネルだからですよ・よ!!!!」」
桃時がポスターを握りしめて翳す。
紅蓮「あ、やっぱ分かっちゃう?」
桃時「そりゃあそうよ!でもあんたは格闘技の経験なんてないからアタシたちに頼んだんでしょ?」
紅蓮「ぜ、全部み抜かれてる……」
橙「また紅葉先生に鉄拳が下されますよ」
紅蓮「頼むからせめてこのことだけは黙っててくれ!!な?な?」
桃時「アタシたちは関与しないわよ」
橙「だから言いません」
紅蓮「ありがとう……うぅ……持つべきものは生徒会メンバーだな!はははは!……うぅ……はははは!……うぅ……」
桃時「こいつやばいわ」
橙「情緒不安定ですね」
雨花「わひゃあひやひまひょうか?(わたしやりましょうか?)」
桃時・紅蓮「え!?」
橙「あの、何で今ので分かるんですか?」
紅蓮「本当か!?本当に参加してくれるのか!?」
雨花「ふぃいいふぇふよ(いいですよ)」
紅蓮「よっしゃあ!!!!やっぱ持つべきものは雨花さんだな!!!!はははは!」
橙「手のひら返し凄いですね……」
桃時「ちょっとあんた身体能力が高いのは認めるけど、格闘技なんてやったことあるの?」
雨花「ごくん……やったこと?ないよ」
桃時「じゃあダメよ。この大会は経験者が集って行われるのよ!なのにあんた独りで、しかも女の子で行ったら間違いなく袋の鼠よ!」
雨花「だったらその袋を噛みちぎって外に出れば良いんでしょ?それにみてれば分かるって」
桃時「あんたのことみてたら一体何が分かるのよ!」
雨花「じゃあ先生〜出場手続きしといて〜」
紅蓮「分かった!必ず勝ってくれ!!頼むからな!!」
雨花「はーい」
橙・桃時「えぇぇぇぇ……」
画して、雨花は格闘技大会に出場することになった。
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会場は、空き地。
砂に円を引いて、その中で試合を行う。
紅蓮「本当は、兎白さんと瑠璃人さんにも出て欲しかったが……剣道があるから仕方ないな」
桃時「雨花一人で大丈夫なのかしら」
橙「雨花さん。大丈夫ですか……って!」
「「何食べてるんです!?!?」」
雨花「いやぁ、もうすぐ春も終わるでしょ?暑くなってくるじゃん?しかもこれから体動かしてもっと暑くなるのに!だから、かき氷を食べてるんだよ!わたしの好きなブルーハワイ味!きゃあ大好き!」
桃時「何でここにかき氷があるの」
橙「そんなことしてる場合じゃないですよ!」
雨花「…………」
橙「雨花さん?」
桃時「何急に試合観ちゃって、まだあんたの出番じゃないでしょ?」
雨花「…………」
雨花は、かき氷を食べながら試合を観ている。
桃時「これひょっとすると……」
「雨花さん!出番です」
雨花「はぁーい」
紅蓮「俺のパネルのために頑張れ!!」
橙「あなたぶれませんね」
桃時「…………」
雨花たち選手が円の外側で待機する。
「再度説明します!ルールは簡単!この円の外に出た人から失格です!円内では死に値しない程度まで格闘技を行うことを許可します!」
橙「そんな!ここ商店街ですよ?!そんな過激な闘いして良いんですか?」
紅蓮「この大会は、小規模とはいえ商店街の荷物運び業者や大きな動物を解体する筋力が強い奴らが多く入ってる。そして、この商店街は結構寂れている。何としても人を集めたかっんだろうな。雨花は、とても鍛えるとは想えないし、格闘技も未経験。……やっぱり無理か」
桃時「……始まったわよ」
「では開始!」
試合のベルが鳴いた。
「まずは、そこのお嬢さんから」「まずは一人貰うぜ!」「ごめんよぉお嬢ちゃん」「倒れてくれ!」
雨花「えぇ〜こっちはあのお菓子の対価を払わないといけないんだよ〜だから……」
雨花は、円の内側ギリギリまで行き、そして、飛びかかってくる男たちの下を通った。
「な、何!?」
雨花「ご・め・ん・ね?」
雨花は思いっきり、男たちを押す。
「な、外に出てしまった!?!?」「あの小娘……やるなぁ」「なんてことだ……」「舐めたのが良くなかったんだな」
雨花「あとはひたすら……」
雨花は、自分から軽く押したり、引いたりする程度で攻撃らしい攻撃はしなかった。襲ってくる者たちのスタミナ切れを起こすまで、ひたすら逃げ続ける。逃げ続けるというのは、幼稚なようだが、相当スタミナにアドバンテージがないとできない芸当である。そして、どこにどう逃げるべきか判断力も必要である。
雨花は、それにとても秀でている。
そう「逃げ続ける」という行為が。
そして……
「試合終了!円内に残っているのは……砂埃が晴れてきた!おぉ!何ということでしょう!残ったのは……」
「「雨花さんだ!!」」
橙「か、勝った……?」
桃時「勝ったのよ!!雨花が!あm((紅蓮「雨花ー!!!!よくやったぞ!!!!ありがとう!!!!」
桃時「声でかすぎ」
「では、優勝賞品授与です!この等身大パネル!おめでとうございます!」
橙「あれ?もう誰も人いませんよ?」
桃時「どうやらみんな、優越感とそれに何より、参加賞の商店街の店の商品の割引券のために参加してたみたいね。ちなみにこの優勝品は商店街のオーナーの息子が血のにじむ想いで捨てたものだそうよ」
橙「その息子さんも紅蓮先生と似てるのかもしれませんね」
紅蓮「おぉおぉん!おぉおぉん!俺の嫁!!!!」
雨花「良かった。紅蓮先生の欲しいものが手に入って」
「どこも怪我ありませんか?」「うん!大丈夫!」「ありがとう雨花さん!!恩に着るよ!」「あっじゃあ美術の授業の出席日数水増ししてくれません?」
桃時「…………」
《それにみてれば分かるって》
あいつ
そういう意味だったのね
あの身体能力……
桃時「羨ましい〜」
雨花「え?何が?」
橙「今日は紅蓮先生がもんじゃ奢ってくれるみたいですよ!」
紅蓮「おぉうよ!雨花は出席日数通常より増やしくとぜ!」
橙「教師失格ですね」
桃時「まぁ沢山いる堅物の教師の中にこういう頭がイカれてる奴をぶち込んでおけば、面白く組織は回るのよ」
雨花「そうそう、紅蓮先生はイレギュラーな先生だから、学校嫌いな子もほんの少しマシになる良いスパイスなんじゃない?甘いものにしょっぱいものを入れると美味しい味になるみたいに!」
紅蓮「褒められてるのか貶されてるのかよく分からんが、まぁ今日は沢山食べろ!!」
夕空色に染まっていく空。
四人の影が仲良く並びながら、歪んだり、繊維に地面に焼き付いたりを繰り返して日は暮れていった。
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