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「ルイさん……」

「シャルロット……本当にすまない……」


ルイさんが、私に深く頭を下げました。


「それは……私からオリバーを奪った事に対して……?」

「……それも……ある……」

「……他には……何があると……?」


私が尋ねると、ルイさんは私が全く予想もしなかったことを告げました。


「私が、貴方を愛してしまったことだ」

「え……?」


ルイさんは、オリバーの生まれ変わりの体を指差しながら


「私は、あなたに愛されているこの男がとても憎かった。私も、この男のようにあなたに愛されたかった。だから、この男が貴方とこれ以上結ばれないようにしたかった。この男と貴方が愛し合っているのを見るのが、とても辛かった」

「ルイさん……」


私は、激しい想いを伝えてくれるルイさんの言葉に、どう返して良いか分かりませんでした。

なので、ルイさんの言葉を最後まで聞いてから、返す言葉を考える事に決めました。


「私は、貴方が愛する男の魂を奪ってからすぐ……あなたの魂にも術をかけた」

「術?」

「もう……分かっているだろう?」


それは、不老不死のことでしょう。

私は、こくりとうなずきました。


「ずっとずっと……若く美しい、貴方の姿を見ていたかった。死ねば生まれ変わり、違う姿になってしまう。私は、あなたの姿のままのあなたを、見つめ続けたかった。……そのせいで、貴方を……娘と離れ離れにしてしまうなんて、思いもしなかった……」


それはきっと、魔女狩りのことでしょう。


「だからせめてシャルロット……あなたと娘を私の手で再会させる事が、せめてもの罪滅ぼしだと思った。だから私は……あなたを見続けるという幸せを捨て、あなたの娘の子供として生まれ変わることに決めた」

「そうだったのですか……。ではあなたは……」

「……オスカーは……私だった……。本当なら、良き孫として、あなたと会い、娘と再会させ……貴方が望んだはずの家族を再生することが、生まれ変わる時に決めた私の使命だった……はずだった。しかし……私の魂が、あなたを愛していることに逆らえなかった……」

「では、オスカーが私をその……」

「ああ、貴方を愛していたのは、私だったからだ」


ルイさんはそう言うと、再び頭を下げてきた。


「だからだろう。あなたが最も愛したオリバーが真っ先に斬ったのは……彼だった」

「それは違います。魔女狩りという、この時代のせいで仕方がなく」

「いや違う。……彼は……確実に私に、殺意を持っていた。オスカーの中に……彼からあなたを奪った私の存在を感じたのだろう。躊躇いもなく、斬りつけてきた」

「でもそれは、シャリーも……」

「その時は、私もオスカーとして死の淵いたから、本当のところは分からないが……少なくとも私へは、役目としてではなく、男としての殺意を感じた」

「そんな……」


ルイさんからの、信じられない告白の数々。

私はそれらをどう受け止めていいか、分かりませんでした。

それから私は長い時間、考えました。

考えて考えて……それからたった1つの願いを、ルイさんに伝えました。


「もし本当に、あなたが私に悪いと思っているのなら……私が願う事が何か……分かりますよね……」


ルイさんは、私の言葉に頷いてくれました。

それから、ルイさんは私の方に手を伸ばし


「貴方は……私の全てだった……」


そう言い残し、ルイさんは光の粒となって消えました。

その瞬間、私の体がどんどん老いていきます。

皮膚がしわくちゃになり、髪の毛は真っ白になりました。

どんどん、体の奥に潜んでた生きる力が、失われていくのがわかりました。

私の体は、一気に死へと向かっているのだと、悟りました。

そうして私は、彼の亡骸を抱きしめながら、囁きました。


あなたに抱かれたい、もう1度だけでいいから。



それから、目を閉じて……夢を見ました。

その夢の中で見たのは、姿形は変わっていましたが……私とオリバー、シャリー……そしてオスカーでもあるルイが、楽しそうに笑い合っている光景でした。






それから数百年後……。

あなたに抱かれたい、もう1度だけでいいから 永遠を生きさせられた魔女が愛する人ともう一度結ばれるまで

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