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第24章:火の遺跡、封じられた始祖
浮遊島ファルナを後にしたゲズとセレナは、南方に広がる赤い荒野――**「レグナ火口地帯」**へと向かっていた。
そこにあるのは、「火の遺跡」。
かつて大陸を焼き尽くした“神炎”が眠る場所。
伝承では、リオンもここで何かを“見つけ”、そして変わったという。
⸻
【1. 火の門】
灼熱の風が吹きつける岩の谷底に、それはあった。
巨大な蛇の口のような岩の門。刻まれた文字は古代語で――
【始祖の意志、眠りし処】
【いずれ訪れる者に試練を】
セレナ「この感じ……遺跡そのものが、意思を持ってるみたい……」
ゲズ「……リオンも、ここを通ったんだな」
門がゆっくりと開いたその瞬間、灼熱の熱気とともに――“声”が響いた。
「――誰だ、“星を継ぐ者”は」
⸻
【2. 炎の試練】
中に入ると、周囲の壁が赤く脈動し始める。
突然、火の柱が吹き上がり、その中から“焔の騎士”が出現した。
騎士「我は、始祖の試練を守りし者。
星を継ぐ者よ――その心に“真の炎”があるか、示せ」
試練は戦いではなく、“心の問答”。
騎士「答えよ――
敵が不死であり、絶対であるとき、お前はなぜ戦う?」
ゲズは少しの沈黙ののち、真っ直ぐ答える。
ゲズ「……守りたい人がいる。
諦めたら、俺自身が俺じゃなくなる」
その答えに、炎が一層強く燃え上がる。
騎士「ならば、もう一つ……
もし、その“守りたい人”に裏切られたら、どうする?」
その瞬間、セレナの顔がわずかに曇る。
ゲズは、一度彼女を見てから答える。
ゲズ「信じる。それが俺の覚悟だ。
相手が迷ってるなら、俺が“信じ切ってやる”」
沈黙の後、炎が一転して青白く静まり、騎士がゆっくりと膝をつく。
騎士「合格だ、“星の継承者”。
その火は、次代の希望。進むがよい」
⸻
【3. 封じられた記録】
騎士が姿を消すと、奥の部屋が開いた。
そこには巨大な炎の結晶――**「神炎核(しんえんかく)」**が浮かんでいた。
そしてその下に、小さな記録装置が残されていた。
起動すると、懐かしい声が響く。
リオン(記録)「……これを見ているなら、君は“本当の敵”を知ることになるだろう。
ルシフェルは、ただの侵略者ではない。彼女は、“世界を終わらせる”ために動いている」
リオン(記録)「この火の遺跡は、その鍵を封じた場所だ。
だから僕は……ここで一度、すべての“人間らしさ”を捨てた」
ゲズ「……リオン……」
セレナ「彼もまた……自分を“捨てて”でも、世界を守ろうとしたのね」
そのとき、遺跡の外で異変が起きた。
地響きと共に、空が黒く染まり始める――
⸻
【4. 奪われた炎】
上空から黒い翼が降り立つ。
そこに現れたのは――カティナではない。
もうひとりの尖兵、名をヴァレム。
虚無の力を操る、感情なき魔人。
ヴァレム「星の継承者、結晶を渡せ。
それは、ルシフェル様の導火線」
ゲズ「ふざけんな! お前らに絶対渡すかよ!」
一瞬で始まる戦闘。
だが、ヴァレムは一切の感情を見せず、圧倒的な魔力でゲズを吹き飛ばす。
セレナ「ゲズっ!!」
その瞬間、ゲズの体が――光に包まれる。