テラーノベル
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冷たい空気が肌を刺す。
えとが目を覚ましたのは、洋館のベットの上だった。天井は高く、壁には古びた肖像画。どこか古びた洋館のようだ。窓の外は霧に包まれていて、何も見えない。
「ここ…どこ?」
ベットから起き上がり、扉に触れた。扉が軋む音を立てて開き、見慣れた顔が次々に現れた。
じゃぱぱ、のあ、たっつん、ゆあん、うり、ヒロ、シヴァ、もふ、なおきち、こた、
ーーそしてえと自身だった。
十二人が、同じように困惑した目で互いを見つめていた。
ゆあんが眉をひそめ、部屋の隅を見回す。たっつんは壁に手を当て、目を細めて何かを感じ取ろうとしている。じゃぱぱは肩をすくめて笑ってみせるが、誰も笑わなかった。
こたがドアを開けようとするが、鍵がかかっている。なおきちは部屋を見回しながら、指先で顎をなぞった。
そのとき、館のスピーカーが低く鳴り響く。
「ようこそ、選ばれし者たちよ。今宵より、君たちには”人狼ゲーム”に参加してもらう。この中に、人狼が潜んでいる。昼は議論、夜は行動。最期まで生き残るのは誰かーー。」
のあが小さく息をのむ。
ヒロはだったまま、時計の針を見つめていた。もふは震える手で自分の袖を握りしめ、目を伏せる。シヴァは口元に笑みを浮かべ、誰にも聞こえないように喉を鳴らした。
えとは、胸の奥にざわめきを感じていた。
(なんで…こんな心臓がドクドクしている?)
食堂に入った瞬間、空気が変わった。
長いテーブルの上には、人数分のパンとスープが並んでいる。湯気がたち、まるで今作らてたばかりのようだ。
のあが立ち止まり、スープの器を見つめる。こたが周囲を見渡し、誰かの気配を探すように首を振る。
うりは器の湯気をなぞりながら、目を細めた。なおきちは椅子に座り、スプーンを手を取る。じゃぱぱはスープをかき混ぜながら、眉を上げてみせる。
もふは器に手を伸ばせず、ただ湯気を見つめていた。
えとはパンの匂いに、ふと懐かしさを覚えた。(この香り…昔、森で食べたあのパンに似てる…)
じゃぱぱが椅子に深く腰掛け、テーブルを指でトントンと叩く。ゆあんは腕を組みながら、天井を見上げていた。
のあは手を胸に当てて、隣のヒロをちらりと見る。ヒロはスプーンを握ったまま、動かない。うりは窓の外を見ていた。霧が濃く、月が赤く見える。たっつんは椅子の背にもたれながら、目を細めていた。
なおきちは指を組みながら、視線をテーブルの中央に落とす。こたは腕を組み、誰にも目を合わせようとしない。
もふはスープに手を伸ばしかけて、すぐ引っこめた。えとはみんなの顔を見渡しながら、胸のざわめきに気づいていた。
のあがそっとえとの腕を握る。
えとは笑顔を作ろうとしたが、うまくいかなかった。自分の中に眠る”何か”が、目を覚まそうとしていたから。
その夜、えとは夢を見た。
赤い月が空に浮かび、森の木々がざわめいている。冷たい風が吹き抜け、草の匂いが鼻をくすぐった。
足元を見れば、爪が伸びている。毛が生え、指先が、獣のように変化していた。息が荒くなる。胸が熱い。なにかが、体の奥でうずいている。
木々の間から、黒いローブをまとった人物が現れた。その姿はぼんやりとしていて、顔は見えない。けれど、声だけははっきりと届く。
「えと。君は選ばれたんだ」
悪魔はそう言った。
コメント
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続き楽しみー あとなおきりだよー