テラーノベル
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昨日より少しだけ、佐久間との距離が近づいた。
でも、それは阿部の中で、安心の印じゃなかった。
朝の光が差し込む教室で、心臓がざわつく。
隣に座る佐久間を見ながらも、呼吸が少し早くなる。
「おはよう」
声をかけられても、上の空。
昨日の会話が、頭の中で何度も繰り返される。
“逃げることもできる”
“でも、逃げなければならないかもしれない”
指先が机の端を握りしめる。
「阿部、大丈夫?」
佐久間の声が耳に届く。
でも、心はまだ反応できない。
昨日、ちゃんと話したはずなのに。
何も解決していないことだけが、リアルに残っている。
放課後、二人で帰る時間。
並んで歩くけど、言葉は少ない。
「……あのさ」
阿部が口を開く。
小さな声。
「昨日、言ったこと…全部、本当に意味があるのかな」
佐久間は黙って横を向く。
待ってくれているけど、答えはくれない。
「……俺、わからなくなるんだ」
胸の奥が締め付けられる。
好きでいてほしいのに、近づかれると怖い。
逃げたいのに、離れたくない。
「……俺もだ」
佐久間の声が、やっと届く。
でも、少し震えている。
「阿部が逃げたいって思うのも、怖がるのも、全部わかる」
一瞬、阿部の心が揺れる。
理解されている安心感と、逃げたい気持ちの板挟み。
「でも、さ」
佐久間は足を止める。
「それでも、一緒にいる。
逃げてもいい。でも、帰ってきてほしい」
阿部は、言葉にできない気持ちでいっぱいになる。
涙が、ほんの少しだけ滲む。
「……怖い」
口に出して初めて認めた感情。
逃げたくない。
でも、近づくのも怖い。
「怖くても、俺は待つ」
佐久間が、少し笑った。
それだけで、阿部の胸の奥が熱くなる。
触れられないまま。
言葉だけで。
でも、距離は確かに縮まった。
帰り道の街灯が、昨日より少し柔らかく見えた。
阿部は、わずかに肩の力を抜いた。
怖くても、
一緒にいることはできる。
それだけで、今日は十分だった。
🌸 × 🍃
こんなかんじですぅ………つまんなすぎて草🌿
コメント
3件
最高! あべさくだーいすき❤︎
面白い!