テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#学園ファンタジー
成瀬りん
291
#家族
たつ
53
#日常
ももは
551
二人のアビス兵が、筋骨隆々の巨体とは思えない速度で突進してきた。
まるで砲弾のような勢い。
地面を砕きながら、一気に距離を詰める。
「速ぇ……ッ!」
公太が思わず目を見開く。
唯我も車から飛び降り、静かに剣を構えた。
「……ただの力任せじゃないな」
「厄介な相手だ」
一祟も一歩前へ出る。
「速度と重量を兼ね備えています……油断はできません」
すると、金棒を担いだアビス兵の一人が低く唸った。
「ここは……通さねぇ」
畑中は短く命じる。
「……やれ」
その一言で四人は一斉に動いた。
最初に飛び出したのはアビス兵だった。
轟音と共に地面を蹴り、一直線に唯我へ襲いかかる。
巨大な金棒が振り下ろされる――
だが。
「……見切った」
唯我の声だけが静かに響いた。
ほんのわずかに身体を傾ける。
その瞬間――
ギィンッ!!
龍焔刀が風を裂く。
「――疾風閃牙」
鋭い斬撃が一直線に走り、アビス兵の胸を切り裂いた。
「グアァァッ!」
巨体が吹き飛び、地面を何度も転がる。
「……お見事です」
一祟が静かに呟く。
「クッ……やるじゃねぇか」
公太も悔しそうに拳を握った。
だが畑中だけは表情を変えない。
「油断するな」
「まだ終わってねぇ」
唯我も剣を構えたまま眉をひそめる。
「……妙だ」
「今の一撃にしては、手応えが軽すぎる」
その直後だった。
二人のアビス兵は突然踵を返し、何も言わず走り去っていく。
「逃がすかッ!」
公太が飛び出そうとする。
しかし――
「待ってください、公太さん!」
一祟が腕を伸ばし制止する。
「今は追うべきではありません!」
唯我も敵の背中を睨みながら低く呟く。
「……確かに怪しい」
その時、畑中の鋭い声が響いた。
「任務が最優先だ」
「追うな」
三人は足を止める。
公太は悔しそうに舌打ちした。
「……チッ」
アビス兵たちは、そのまま街の奥へ姿を消した。
何かを隠すように。
何かへ誘い込むように。
まるで――罠だった。
四人は警戒を強めながら、再び原田章造の捜索を再開する。
だが、その時。
「……ん?」
公太が足を止めた。
「あそこ……誰かいる」
全員の視線が建物の陰へ向く。
そこには、一人の人影。
白衣のような服を着た老人が、怯えたようにこちらを見ていた。
目が合った瞬間――
老人は慌てて走り出す。
「おい、待て!」
公太が叫ぶ。
四人は一斉に、その後を追い始めた。
だが彼らは、まだ知らなかった。
その逃走こそが――
本当の罠の始まりだった。
コメント
1件
うわっ第57話、めっちゃ緊迫してたね…!!✨ 唯我の「疾風閃刀」が決まった瞬間はマジで鳥肌立ったんだけど…ッ😭💕 でも「手応えが軽すぎる」って冷静に違和感に気づくの、さすが唯我だよな〜!! それにしても「逃走こそが本当の罠」ってラスト、めっちゃ続き気になるやつじゃない?! 敵の思惑と、新キャラぽい白衣の老人…もう次の話が待ちきれないよ〜!!🔥🔥