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_決着__🥀𓈒 𓏸
「来たか.ダレイ」
バロインがダレイを見つめている一瞬の隙の間でマイクが勢いを使って立ち上がるとすぐさまに距離を開いた
「ダレイさん!!」
重症の体でそのままダレイの元へ走るマイク…が、突然大きな壁が目の前に現れ行く手を阻んだ
そのままマイクを囲うと空間にはダレイとバロインだけになってしまう
バロインの動きに身構えながらゆっくり距離を詰める。一方の方は笑みを浮かべながらダレイと正面で向き合った
「その男を解放しろ!命令だ!」
「ほう…命令か?随分お友達を助けたいように伺えるな……笑わせる」
「当たり前だ!!見殺しにするアホが居るか!!」
「……残念だが無理だな…マイクの力は見放すには惜しい」
バロインが一瞬のうちに距離を詰めると、ダレイの腹部目掛け拳を振ってくる
しかしダレイの得意の反射神経で,腕で咄嗟に受け身を取る
尽かさず来る攻撃に受け身,避けなどを繰り返し,ダレイも負けずと拳を振るう
相手の動きもしつこかった
まるで動きが読まれてるかのように避けられ、次第に蹴りで壁へと叩き付けられた
「……グッ…」
「力のない刑事など虫に過ぎん」
先程まであんなに距離が空いていたのに、瞬きの合間に目の前まで詰められる
「くっ…!」
何とかギリギリでよけ、体を転がし距離を開けると、銃を発砲する
しかし、いとも容易く避けられる
「ゆっくり殺してやる…マイクの友達だからな」
その言葉と共に薄紫色の煙が辺り一面に充満する
煙を吸い込んだダレイは、肺から息苦しさを感じ咳を混み始めた
まずい……毒ガスだ
直ぐに逃げなければならない…しかし、その隙をバロインは与えない。マスクをつけたバロインは顔色一つも変えずにダレイに攻撃を仕掛ける
彼にとって避けるのが精一杯だ
動かせば動かす分だけ体力を使い、その分呼吸数も増え、毒を沢山吸ってしまう
(まずい……息が……)
既に限界だった
その時、バロインの出した壁が、次第に大きく揺れ始め破壊された
中から勢いよく飛び出したマイクは,目を走らせるようにダレイを探す
姿を捉えるとバロイン諸共、突っ込み
立つのも辛そうなダレイをしっかり掴む
「死ぬな!!!」
意識消えかかったダレイの肩を担ぎ、そのまま船の外へと身を投げ出す
バロインがそれを阻止しようとしたが、マイクは尽かさず銃口をバロインのマスクに2弾発砲
口元のマスクが外れ、素顔が見える
「……チッ」
口元を抑えたバロインの姿を最後に、2人は船からかなりの高さがある4階から3階の客船へと落下した
それだけで終わりではなかった
待ち望んでたかのように男達が拳銃を持ってダレイ達を狙い定めていたのだ
やむ無く発砲されると、マイクは小包を握りしめ、攻撃を跳ね返す
苦しそうに呼吸をするダレイはガスを吸いすぎてしまって朦朧としている
ダレイの腰についている拳銃を取ると、マイクは男達目掛け発砲しまくる
次々と倒れ、目の前に扉が現れた
弾切れの拳銃を捨て、扉へと走り、中へと入る
ザワザワと廊下に出ている乗客は,ことの事態を知らずにダレイ達の様子を見て驚きの声が飛び交う
「死にたくないなら部屋に戻ってて下さい!!!」
そうマイクが叫びながら,廊下を進む
階段上から銃撃が聞こえ、上から男が落ちてくる
そこからダッシュで降りてきたのは、エイデンだ
「…!!マイク!!無事だっ…って!?ダレイさん!?」
「エイデンさん!窓から飛び降ります!小包を使って下さい!」
掛け声も無しでマイクはそのまま階段の隣にある窓ガラスをナイフで割ると、外へと身を投げた
「ええっ!?マイク速すぎるって!!」
慌てて飛び降りると、地面に小包を投げた
クッションが出てくると、マイク達を静かに受け止めた
「マイク!ダレイさんは??」
エイデンがダレイの状態を心配そうに言うと、マイクはダレイの肩をしっかり掴むと、返答を返した
「後!!」
休むこと無く下へ下へと降りていく……が,バロインも追いつき、目の前に立ちはだかる
「鬼ごっこは楽しいか?」
バロインが銃口を向け、ダレイ目掛け発砲する
そんな2人の目の前に飛び出したエイデンが先程使ったぶよぶよのクッションでガードし阻止する
「…新しいお友達か…」
バロインが睨みつけながらエイデンを見る
「違う……!マイクの同僚だ!」
エイデンが包みを投げると、バロインの足元は船の床とぶよぶよで身動きが取れなくなる
「…刑事か……面倒だ」
バロインが包みを投げ、再び辺りは毒のガスが充満した
「ッ…!?これって…!毒ガス!?」
「これ以上、毒の耐久が全くないダレイさんがガスを吸えば…助からなくなります!!」
船の扉が勢いよく開くと、ミジとマロンが外へと出てきた
2人は外の異様な光景に驚きを隠せない
「どうなってんの……?これ」
「息がッ……苦し……」
一息吸ったマロンはたちまちその場に倒れ込んでしまった
「マロン!!!!バロイン!皆殺しにでもする気!?」
しかしミジの返答に答えない
やがてミジは目の前の3人の姿にようやく気付いた
マイクが銃弾で腹部を撃たれているのを目で捉える
「……え…」
「仕上げだ…マイク…今、戻ればお前だけは命を助けてやろう」
しかしマイクはすぐさま銃口をバロインに向けた
答えは目の奥から決まっていた
目の前の男を殺し、生きて帰ると
「……残念だ」
バロインが小包を取り出す、その手で砕こうとしたその時
眩しい光とともに激しい風の渦がその場に立ち上った
「……っ!!今度はなんだ!!?」
激しい渦は1部だけを巻き込み、次第にバロインとマイク達の間に1人の男が佇んでいた
シロエだ
「社長!!」
「……っ!?」
社長の登場に思わず息を呑むマイク
辺りのガスは既に消えており、正常に呼吸ができる空気に戻っていた
「バロイン…何年ぶりだろう…お前に会うのは」
狂気に満ちた顔はバロイン以外を捉えず
殺意しか感じとれない
その圧迫にその場に居たものが息を飲む
「……ハハッ…死に損ないか…」
2人が戦おうとしているその時、コツコツと足音が近付くと同時に,ダレイの肩をミジが担いだ
「……ッ!!離せ!!」
マイクが睨みつけながら抵抗する
しかしミジは反撃する
「馬鹿ね!!いつまでそこに居るつもりよ!!!」
船の下は既に緊急用のボードで満ちており、乗客が全員避難している
今しか逃げるチャンスは無い
「マイク!あたいを恨んでも構わない!でも、そんなことよりあんたの傷とその男の命が掛かってんでしょ!!」
「…そんなこと初めから分かってますよ!」
冷静さを取り戻したマイクはミジとマロン、そしてエイデン達と共に、下へと戻っていく
「おっと、お前は行かせないよ、ここで死刑だ」
下ではオリビアが船を近くに止めて待っていたのだ、
マイク達を見つけると、涙を流しながらお迎えをし,船に乗せた
マイクが乗り、ミジとマロン以外が全員乗ると、ミジはマイクに話しかけた
「……あんた,その男…とっても大切にしてるみたいね…その男は何を持ってるの?」
しかしマイクはミジの質問にすぐ返さなかった
それを見越したミジが、さらに続けた
「あたいはあんたの力なんて気にも止めてない。あんたに救われたから、失いたくなかっただけ」
「……!」
「でも今回の件で分かったわ…あんたはもうあたいらの仲間じゃないってこと……あんたは刑事。その男と同じね」
ミジが覚悟を決めたように下手くそに笑う
マイクはその顔に気付き、再び船から降りようとする
「ミジ…!」
「出してあげて、マロン」
しかし、それを止めるかのようにミジがマロンに指示を出す
マロンはこくりと頷くと同時に、船から毒ガスが吹き出した
マロンがすいっと水面を触ると、オリビア達の乗る船はエンジンをかけずにそのまま走り出していったのだ
最後にまたマイクがミジの名前を呼んだ気がしたが…彼女にとってもうどうでも良い事だったのだ
「……マロン!あたい達も泳いで戻ろ!」
「…僕泳げない」
「仕方ないじゃない!あんな空間で一緒に乗れるか!っての!」
ガスが迫ってくる中、ミジは上で戦っている音を耳で聴きながら見上げている
「あたいらどうしようね〜……」
「……ねぇ…見て」
マロンが指を指す方向を、ミジは見つめる
帰っていくマイクたちの船の横を、別の船が猛スピードでこちらに向かってくる
おーーい!と声が聞こえ、ミジ達は目を見開いた
やがて船は目の前で綺麗に止まり、船を操縦していた男がミジを見つめる
横にも、1人眼鏡をかけた男がいる
ノアとレオンだ
「全く…こんな大事が起こってるとは何事ですか、貴方が我々の対象なら間違いなく待ってるのは船でなく刑務所ですよ」
「俺たちはあんたらを助けに来た助っ人よ!刑事だけど」
「はぁ……??」
ふざけた態度のノアにドン引きしながら本音が飛び出る
その顔を見たノアがわざとらしくからかうように笑った
「うっわ!顔こっわ!!女の子なのにそっちの坊やの方が可愛げあるよ〜」
「なっ!?失礼ね!!あんた!」
「ノア先輩、、いくら相手が怪盗でも、からかうのはやめてください……見ててこっちが恥ずかしいです」
「ミジミン……この人たち怖い」
「……それでいて結構、早く乗りなさいグズグズしていたら僕らまで死んでしまいます」
ミジ達は船に乗ると、エンジンが掛かり、走り出した、それとどうタイミングで船が爆発され、上から男が船へ目掛け落下していく
「よ……っと!!いや〜なかなか高さあるね〜」
船へと着地したのは、バロインと戦っていた男、シロエだった