いつもあの瞳に映る僕は、とても綺麗だと思えた。僕は、と言うより彼の瞳に吸い込まれたのだ。彼の瞳は、いつも僕を写していた。
茶色く、どこか儚い瞳は、僕にとって特別だった。
出会いは高校1年生の春。グループができ始め、僕、東駿也(あずま しゅんや)はクラスに馴染めず、学校に行くのが苦痛で仕方がなかった。
それに比べて彼、津永優馬(つなが ゆうま)はいつもクラスの中心にいた。でもどこか津永の瞳は、どこか切なく、儚かった。その瞳に、僕は魅了されてしまった。好きな訳じゃない。クラスの中心にいる津永を好きになるわけが無い。
目が合ってしまった。パニックになり、慌てて教室を出た。いつもの場所。体育館の倉庫。僕が唯一安心できる場所。お昼は大体ここにいる。一緒に食べる人なんていないから。いつもは静まり返っている体育館に、足音が響いた。驚いた。津永の声だ。必死に息を殺した、ここにいる事がバレたら、きっと笑いものにされる。怖かった、徐々に足音はこっちに近づいてくる。心臓の音が聞こえる。
開けられてしまった。終わったと思った。僕の高校生活はここで終わりだ。、 だが津永は何も言わずに僕を見つめていた。何故だかこの瞳に見つめられると、心が暖かくなる。何故だろう。
彼は、五分程すると口を開いた。
「ねぇ、僕と付き合ってよ。」
意味がわからなかった。どうせ嘘だろうと思ったが、彼は至って真剣だった。目を見ればすぐに分かった。
「うん。いいよ。 」
気がつけばそう返事をしていた。
体に心が追いついていない。
だが、後悔はしていないのかも知れない。
何故だか幸せだと思ってしまった。
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