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桜の約束

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桜の約束

3 - 第3話

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2025年08月13日

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大会で告白されてから数日後。

放課後に待ち合わせて、初めて二人で街へ出かけることになった。

「行きたいところある?」

「うーん…映画とか?」

少し照れながら答えると、先輩は嬉しそうに笑った。

「じゃあ決まりだな」


映画館までの道、隣を歩く距離が以前より近い。

信号待ちのとき、そっと手を繋がれ、指先が熱くなる。


映画の後は、イルミネーションが輝く並木道を歩いた。

冬の空気は冷たいのに、先輩の手が温かくて、手袋なんていらなかった。


「こうやって二人で歩くの、ずっと夢だった」

先輩の言葉に、胸がじんわりと満たされる。


帰り際、駅のホームで電車を待ちながら、先輩がぽつりと言った。

「卒業まで…全部の時間を○○と過ごしたい」

その瞳が真剣で、私はただうなずくことしかできなかった。


その夜、家に帰ってからも、繋いだ手の温もりが消えなかった。



冬休みが終わって少し経った頃。

先輩から「次の休み、ちょっと遠出しない?」とメッセージが届いた。

行き先は、電車で1時間ほどの海沿いの町。

放課後、電車に揺られながら窓の外を眺めていると、先輩が私の肩にそっと頭を寄せる。

「こうやってゆっくり電車に乗るの、なんか新鮮だな」

その声が近くて、胸がくすぐったくなる。


海辺に着くと、冷たい風と潮の香りが一気に押し寄せてきた。

「寒っ!」と笑いながら、先輩は自分のマフラーを外して私の首に巻く。

「風邪ひかれたら困るから」

そんな何気ない仕草が、心を温めてくれる。


夕日が沈む海を見ながら、防波堤に並んで座った。

波の音と、遠くのカモメの声だけが響く。

「○○と来られてよかった」

その言葉と同時に、先輩が私の手を握る。

冷たいはずなのに、その手は不思議なくらい温かかった。


帰り道、電車の中でうとうとしていたら、先輩がそっと私の頭を自分の肩に乗せた。

「このまま降りなくてもいいな…」

小さなつぶやきが、冬の夜に溶けていった。



                           第3話

                            ー完ー



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