TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

〈radao side〉


温かくて、心地がいい。


この感覚、いつだかの感覚を身体が覚えている

あぁ、お父さんの手だ。


あの愛に溢れた優しい手。


瞼越しに感じる朝日の気配に、頭に残る人肌の温もりに触れながらゆっくりと目を覚ました。




でも俺の目にうつったのは実家でもなければ、一人暮らしをしていた部屋でもなく、紛れもない病院の個室だった。


その手の正体が父親のものではない人とわかったとき、涙を堪えることはできなかった。





rd 「、、、ぺいんと?」



まだその手の方に振り向くことはできずに、少し掠れた声が出た。

もしこれが夢だったとしたら俺はきっと立ち直れないから。涙も相まって現実なのか夢なのか、視界から判断することは難しくてただ愛しい声を待っていた。










pn 「おはよう。よく寝れた?」



毎朝のように聞いていたその言葉、鼓膜で感じる声色を俺は夢だと勘違いするほど阿呆じゃない。

気がつけば身体が勝手に動いていて、力一杯に抱きしめては子供のように泣いていた。



pn 「ちょっ、痛い痛い。離れろって笑」


rd 「やだやだ、ぜっったい離さない」


pn 「っ、本当に苦しいってば!ナースコールするよ!?」


pn 「綺麗なおねーさん!!助けてらっだぁがっ」


rd 「俺がここにいるのになんで呼ぶの」


pn 「お前じゃ意味ないって」


rd 「俺だって看護師ですぅ。元だけど」


pn 「そう言うことじゃねぇって」




rd 「本当に生きてる、、、っ」


pn 「え、ちょ、まだ泣くの」





ky 「はぁい、可愛い看護師が来ましたよぉ」




rd 「本当に生きてる、、うぅ」ズビッ


pn「可愛い看護師さーーん!!」


ky 「え、何このカオス」



pn 「げっ、院長かぁ」


ky 「あ?」











ky 「はい、じゃあらっだぁも落ち着いたことだし」


rd 「いやぁ、ほんとにご迷惑をおかけして」


ky 「まさかあんなに泣くとは思わなかったなぁ」


pn 「いやまじで初めてみた」


rd 「んね。それでなんだっけ?」


ky 「逃げたな笑、 えっとまぁ、これからについてなんだけど」



ぺいんとは俺をバカにできるくらいに元気なわけだし、都合の悪い話は打ち切って二人のこれからについての話に持っていってやった。


ぺいんとの癌については食生活や薬を投与しながら腫瘍はかなり狭い範囲になっていたから俺が取り除いて、現時点では彼の体には癌は無くなった。

ただ、まだ再発等もある可能性を考慮してしばらくの間は入院、退院後も定期的な検診を行うとのことだった。

二人暮らししていたあの家はもともと病院の管理していたものだから引っ越すことも提案されたけど、ぺいんとも俺もあそこが気に入ってたから買い取ることにした。



ky 「でもなぁ、俺から提案して始まった二人暮らしでもあるし、らっだぁのおかげで治療の幅も拡がったわけだから」


ky 「俺が買ってプレゼントしちゃう♡」


rd 「え、やったー」


ky 「結婚祝いな」


rd 「だってよ、ぺいんと」


pn 「いや、嬉しいけど、結婚してないしな」


rd 「え、なにやなの?俺の旦那さんになるの」


pn 「ほんとよく言えるね、そんな恥ずかしいこと」


rd 「なんで、だってやってること夫婦と変わらんよ?一緒にご飯食べてー、一緒におふ」


pn 「わあぁぁぁあぁっ、そうだね結婚ね!」



笑って誤魔化してるけど耳が赤くなってるのは隠せてないんだよねー

久々に見れる彼の元気な姿に心から安堵した。



ky 「いちゃいちゃしないでもらっていいですかー!?」






冬の間に朽ちてしまいそうだった木々は徐々に葉を身につけ始め、山の麓では雪解け水が街を潤している。


それでもまだ春の風を知らずに雪がまだ花は咲かせまいと土の上に名残惜しく居座る3月。

鳥たちは少し早く新しい季節を出迎えるために高らかに声を上げて、俺たちに朝を知らせる。



rd 「んんぅ、、、」



朝日が隙間という隙間から入り込んできて、心底鬱陶しい。まるで瞼をこじ開けてくるみたいに明るい、俺の太陽は一つでいいのに。

まだ寒さが抜けないからか布団は俺を離してくれないし、、、

俺は二度寝をしようとして目を閉じた

台所から聞こえてくる朝の支度をする音は安心する。彼がここにいると実感できるから。


偶然見つけた俺だけの太陽、そしてそれに照らされた月。互いに名前は知らずにすれ違いながらも必ず向かい合う位置へと戻ってきた。

俺たちが出会ってから今まで過ごしてきたこの生活はあまりにも運命的で非現実的なものに見えるけれど、それが確実に俺たちの通った道なのは間違いなくて、小説みたいな話もあるもんなんだと不思議な感覚に至る。



人生まだまだこれから、どんな物語が待っているのだろう。少なからず今まで生きてきたのは人生の4分の1ほどしかなくて、、、。

先は永すぎて見えないし、過去はいつか忘れていってしまうものなのかもしれない。それでも明日に希望を持ちながらゆっくりと歩んでいくのも悪くないと思った。



そろそろ起きなきゃな、、、


グイッ

pn 「おはよー!よく寝れた?」



あぁ、ほんとに眩しい










〜 約束のスノードーム end 〜























rd 「ぺいんと今日も元気?」


pn 「もう見てご覧よ、めっちゃ元気」


rd 「よかったよかった」



pn 「最近毎朝聞いてくるのなんなの?」


rd 「挨拶的な?」


rd 「えっ、てか見て!」


pn 「なに」







rd 「俺の息子も元気」


pn 「まじでなんなの」

約束のスノードーム

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

2,021

コメント

8

ユーザー

神物語ありがとうございます!! 何故こんな神作品を作れるのでしょうか...、🤔‪ 時間がある時にまた拝見させていただきます(合ってるのか?使い方)

ユーザー

ハピエンで終わって良かったです…😭 本当に表現力とかが凄すぎて尊敬でした… rd彡,いつもはふざけてるけどやる時は本当にやるって言う人だって事を遠回りでも,近道のようにでも無く,中間で伝えて来るのがrd彡の人柄を表してて凄かったです✨️💕pnちゃんが生きてたの知った時ガチで嬉しすぎて涙が出てしまいました この神作に会うために生まれてきたと言っても過言ではありません。本当にありがとうございました‪🫶💕

ユーザー

本当に良かったです😭まじで語彙力と表現力尊敬します😭本当に感動しましたありがとうございました😭😭

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚