「、、、、、みこちゃん?」
大好きな人の声がした。
もしかして、と顔を上げる。
路地に座り込んでいるおれを見て、すちくんは血相を変えた。
「こんな夜中に何してるの⁉︎」
我慢の限界だった。
堪えきれなくなった言葉と涙が、ぽつりと溢れる。
「、、、、、おれッ」
ーーーうちに子供なんていませんけど。
お母さんが吐き捨てた言葉が頭に浮かぶ。
顔を上げ、おれは頑張って笑顔をつくった。
「おれっ、いらないんだってッ、、、、、!」
すちくんが目を見開いたのがわかる。
笑わなきゃ。笑わなきゃ。
必死に口角を上げる。
けど、ダメだった。
なんで、こんなにも。
おれは嫌われるんだろう。
頬に涙がつたった瞬間、唇に何かが触れた。
あたたかくて、やわらかい何かが。
それがすちくんの唇であることに気づくまで、少しかかった。
すちくんが俺をぎゅっと抱き寄せていた。
強く、きつく。
「ッすち、、、、、くんッ、、、、、?」
かろうじて声を出す。
おれより背が高いから、すちくんの表情は見えない。
ーーー何してるの?
そんなことを聞くひまもなく、今度は口の中に舌が入ってきた。
ぐちゅぐちゅという音を立てて、唾液を絡め取られる。
ただただ甘ったるい。
舌を吸い取られるたび、変な声が出そうになる。
でも口がふさがれてるから、言葉にならない。
はじめて知る感覚に、 頭が溶かされる。
ゆっくり体から力がぬけていく。
すちくんはそんなおれを、より強く抱きしめた。
足を絡ませ、舌を口にねじ込む。
そして、一番奥に触れた。
びくんと飛び跳ねる。
そこを触れられると、変な感じがした。
「あッそこやらッ」
すちくんの背中を弱々しく叩く。
でもすちくんはやめない。
逃げようとする俺の腰を強く抱きしめる。
何かが湧き上がってくる。
息ができない。
苦しい。
目にうっすらと涙が浮かんだ。
さっきとはちがう涙。
それを見たすちくんは、ぴたりと動きを止めた。
唇がゆっくり離れていく。
ようやく息ができた。
あわてて呼吸を整える。
「すちッ、、、、、くんッ、、、、、?」
ぼろぼろ涙をこぼしながら、おれはすちくんを見上げた。
怖かった。
隠されたランドセルをさがしてくれる、
みんなに避けられても仲良くしてくれる、
毎日一緒に帰ってくれる、
やさしいすちくんじゃない気がした。
「、、、、、ねえ、みこちゃん。」
すちくんはそっとおれの涙を拭った。
そして、頬に手を当てる。
「俺と、」
綺麗な緋色の瞳と目が合う。
「幸せになろうよ。」
、、、、、え?
「しあわ、、、、、せ?」
「そう、幸せ。」
すちくんは目を細め、おれを愛おしそうに見つめた。
「ずうっと一緒にいよう。俺が守ってあげるから。」
心の隙間が、濃厚な蜜でうまっていく。
守ってあげる?一緒にいてくれる?
おれを、愛してくれる?
「ほんとうッ?」
おれはきらきらと目を輝かせた。
「ほんとう。だからさ、」
そして、小指を差し出した。
「約束しよう。幸せになるっていう、約束。」
嬉しさが胸いっぱいに広がる。
「うんッ」
おそるおそる小指を絡める。
すちくんの手は、同い年なのにおれよりも大きい。
手を繋いでもらうとあったかくて、いつもほっとする。
「じゃあ、約束ね。」
夏の星空の下、すちくんは見惚れるような笑みを浮かべた。
「二人で、幸せになろう。」
ーーこの頃のおれは、ひたすらに無邪気だった。
すちくんがおれにしたことも、自分がどんな状況なのかも考えてなかった。
大好きな友達としあわせになれるって、
ずっと一緒にいれるって
信じて願って、
疑わなかった。
ただただ嬉しかった。
だから、こう言った。
「うん!約束ッ! 」
コメント
2件
コメントありがとー!!!!!学校大変だよね!うちも夜テラノベ見るのが癒し☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ あ、コメントあったから連載します!年下彼氏と純愛しますも楽しみにしてるね😊体に気をつけて一緒に頑張ろ!
うわ好きすぎるッ✨ まず年齢層が尊(( 純愛に見えるけどどこか重そうな感じブッ刺ささりすぎて…終わり方も良すぎて神作すぎ!学校の後読むのは癒しすぎる…ッ🫠✨