記憶──サイド ??
大丈夫(もう無理)。
まだ頑張れる(苦しい)。
バレる訳には、いかないのに(お願い、気づいて。誰か、助けて)。
笑え(笑え、ない)。
────どうして、私だけがこんな毎日を過ごさなきゃ、いけないの?
ああ、駄目。考えてはいけない。
世の中には私より苦しい環境でも生きている人がいるから、私はまだ頑張れる。……頑張らないと、いけない。
例えば、生まれながらに障害や病気を持ってる人。いじめられている人。アンチを受けている人。周りに認めてもらえない人。虐待や恐喝をされている人。大切な人を失った人。貧乏で、子供の頃から働いている人。DVやハラスメントを受けている人。もしくは、これら全て。
私は、生きないと……(本当は、苦しいくせに!)
「!!」
(苦しいんでしょ?辛いでしょ?その気持ちは自分自身しか分からないよ。どんなに些細なことでも苦しい、辛いって思っていいんだよ。)
「……っ、ぁ、」
(苦しい?辛い?何も感じたくない?怖い?生きたくない?消えたい?……死にたい?)
「ぅぁっ……ぅるさい……っ!」
(自分の気持ちさえ偽るの?泣きたいときに泣けないの?ねぇ、逃げてもいいんだよ。誰も信用出来なくても、大切な人のことを考えられるだけで、迷惑をかけたくないって思えるだけで本当に偉いいんだよ!凄いんだよ!)
「……………」
考えないように、していた、のに。
(だから、たまには自分に正直になって。“私”は、どうしたい?)
私は……幸せな世界で、生きたい。けど、それが無理だってわかっている。
だから、もう……。
「……し、にたい」
(そっか。助けられなくて、ごめんね)
雨が降っていた。今まで気づかなかったことが不思議なくらい、土砂降りの雨。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
傘もささず、降りた踏切に一歩、また一歩と真っ直ぐ近づく。
もう、今日で終わりにしたいと強く思った。そんな私の足を止めるために、あのとき電話がかかってきたのかなって、今でも考える。
「おか、あさん……?」
『産まれたわよ!元気な女の子。キリって名前にしようと思うの。これからお姉ちゃんとして、面倒見てあげてね……!』
厚い雲の隙間から一筋、太陽の日差しが私の周りを明るく照らした。
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