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 なんてことは無い家だった、両親と兄、弟。嬉しいことも腹ただしいことも沢山あった。けれどそれは過去の話、もう手に入らない宝物。父と山道を登ったり、母と家族には内緒でスウィーツを食べたり、兄弟喧嘩をしながらテレビゲームをしたり。二度と戻っては来ない日常。

 ある日、母が前触れもなく離婚届を父に差し出して出ていった。父は母にすがりついたがなんの効力もない。

ほかの女を愛した手で私に触らないで。

 その一言が父のしてしまった行いを物語っていた。 酒を煽り続け、暴言と暴力にまみれる父。それにただ対応し続けた。兄と話し合い、母に弟だけでも助けてくれと頼み、了承の知らせに喜ぶ。

 兄は疲れ果て、父から逃げるようになった。そしてそれを僕にも要求し、しかし僕が父を哀れんで離れられなくなっているとわかると強制的に「逃げ」させてくれた。それは言語として区別するならば呪いの類で、だからこそ成り立ての霊体で他者を呪えた訳で、俗に言う意趣返しだ。

 とは簡単に言ったがその時に返した呪いに加えて、わずかながらにみんなを呪った。呪いなので相手に効力があるのはもちろん、己にも何かしらの影響が出る。デメリットがあるのならばメリットもあるわけで、呪った人間の位置が感覚を掴めさえすれば捉えることが出来るのだ。

 母に浮気の事実を伝えたことを怒る訳では無い、父に事情を聞いて家以外でも我慢を強要したことを怒る訳では無い。そのようなことしかなせない君たちを「助け」たいだけなんだよ。

 僕は「逃げ」道を教えて導いているだけ。

僕は大好きだから呪う

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