テラーノベル
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朝起きたら猫になっていた。
いや、基本的な大部分は人間だ。
シルエットは今まで通り人間であることに間違いないのだが。
「耳…?」
頭の上にちょこんと乗っているふわふわの三角形。
顔の横にある耳はなくなっている。
こんな、漫画みたいなことあるか?
漫画も漫画、あまりにも王道で鉄板で…使い古された設定すぎる。
いや、これは恥ずかしい。
こんな部分的な猫になるのなら、いっそ完全な猫になった方がマシだっただろう。
「はぁ…」
これからどうするか。
朝も早い時間に集合のためマネージャーが迎えに来てくれると言ってたが、この状態で仕事するのか?
今日はメンバーのみの番組収録だ。
頭の上なので、帽子を被ればなんとかなるかもしれない。
ただ…メンバーには何て言おう?
入りからずっと帽子を被っていても怪しまれるだろう。
かといって脱ぐわけにはいかないし。
うーんと悩んでいるうちに、スマホが振動した。
画面を見ると「おはようございます、下に着いてます!」とマネージャーからの連絡だった。
ええい、考えてもどうにもならない。
こうなったら出たとこ勝負で行ってみようと、とりあえずの帽子を被りマネージャーが待つマンションの一階に降りた。
ーーーーー
「では仁人さん、僕が先に入って事情を説明します。それまで待っていてください」
そう言って控室の中に入っていったマネージャーの背中は、いつもより逞しく見えた。
結局車に乗ったあと、「ちょっと事前に伝えておきたいんだけど」と言いながら帽子を脱ぎ、明らかに人間の一部ではないものを見せた。
水を飲んでいたため盛大にむせた後、目をまん丸くしてこちらを向き、「え~~~~」とどう言えばいいか分からないような顔で見つめられた。
「そういうことだから。今日は帽子被って何とか凌ぐけど…メンバーには伝えておいた方が良いと思ってる」
決定事項として伝えると、マネージャーもはっと我に返り、大げさに何度もうなずいた。
しばらく待っていると、控室の中から笑い声がした。
きっとマネージャーの妙な冗談だと思っているんだろう。
しかしその後しばらくして、部屋の中が急に静まり返った。
どうなっているのか気になるし心配になったが、今入っていっても混乱するだけだと、状況を確認したい気持ちをぐっと堪えて待機する。
さらにしばらく待っていると、ドアの近くに人影が映り、カチャ、とノブが回った。
「一通り説明しました。皆さんあまり信じていませんが…まずは見てもらいます」
そう言われて中に促されるまま入っていった。
メンバー4人とも、こちらを見ている。
皆の頭にクエスチョンマークが浮かんでいるのが見える。
そうだよねぇ…
memi(めみ)
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仁人は勇気を振り絞り、注がれる視線の中で帽子を脱いだ。
「あ、仁ちゃんよう似合ってるやん~!」
最初に声を発したのは太智だった。
口角が上がっているので、きっとおもちゃの猫耳をつけていると思っているのだろう。
ドッキリだと思われているようだ。
「ほんまやなぁ、意外としっくりくるもんやね」
「けどそれどこに着けてんの」
舜太と柔太朗がわらわらと近づいてくる。
あちこちから観察しているが、どこからどう見ても頭から生えているようにしか見えず、疑問はますます増しているようだ。
「え、まって、これどうなってんの?」
近づいてきた太智もいよいよ混乱し始めている。
まぁ仕方ないか、と視線を動かすと勇人と目が合った。
口を手で覆うような仕草でこちらを見ている。
「勇人も見てみる?」
「…っいいの?」
妙によそよそしい態度に仁人は妙な感覚になった。
普段ならいっそ遠慮なく触ってきそうなものだが…どうもよそよそしい。
「…失礼します」
他人行儀な断りを入れて勇人はそっと耳に触れた。
ふわふわ、さらさら
優しく触れられる感覚に仁人は気分がよくなるのを感じた。
すると穏やかな気持ちに反応したのか、耳がふわっと上を向いた。
「ぁ…」
耳の動きに驚いて勇人は手を離した。
「ごめん、痛かった?」
「…ううん、全然」
大丈夫、と言おうとした瞬間、マネージャーが号令をかける。
「ーという訳なので、吉田さんは本日帽子を被って収録します。明日以降の収録はこれから対応を考えます」
「仁ちゃん、大丈夫なん?身体とか違和感ない?」
「ほんまやで。他に変わったところとかはないの?」
心配げな太智と舜太に対し、仁人はにこっと笑って見せた。
「いやぁ、なんか全然違和感はないんだよね」
へー、そんなもんなんかな、という太智に、どんなんやねん、と突っ込む舜太。
柔太朗にいたっては、猫に似合う衣装考えないと…と謎の理解力を示していた。
「勇人、大丈夫?」
「え、いや…うん、俺は大丈夫だけど」
仁人はマジでなんともないの?と耳と目を交互に見られる。
「本当に耳だけ。鏡見てようやく気付いたくらい馴染んでたわ」
そう言うとようやく勇人が笑った。
コメント
1件
あら、読んだよ〜🥀 朝起きたら猫耳が生えてるって、王道だけど恥ずかしがる仁人の反応がすごくリアルで笑っちゃった😂 メンバーみんなの反応もそれぞれ違ってて、特に勇人の「よそよそしさ」が気になる…何か隠してる感じ? 猫耳に触れたときの空気感、すごく丁寧に描かれてて、じんわりきたよ。 続きがすごく気になる…! 蝉の抜け殻さん、ありがとうございます🌙