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ハチャメチャに好きですッ!! 神作品だ…(´゚д゚`)
utemがこんなに尊いなんて……✨ オフィーリアみたいという喩えがgr氏らしいイヤミな喩えが、またエモくて素敵です!! 何だかんだで皆に愛されてるemだけど、一番愛されたい人が臆病というのがまた…✨ 素敵お話、ありがとうございます! 考えれば考えるほどに話が暗くなっていく…すごく…わかります…(頭がもげるほどのヘドバン)
あっ、お久しぶりです作者です
いやぁ…ね……
ココ最近全くもって筆が進まなくてですね
ヤバい家族ももう前回更新から2ヶ月過ぎちゃった(´・ω・`)
なんでなんでしょうね
インスピレーションが湧かないと暗いネタに走ってしまうのは……
まぁ今回は一応ハピエンなんで!
セーフ!!
では、どうぞ……
utem【拝啓、死にたがりの君へ】
「……またかぁ」
空っぽの部屋と、見事に解体されたGPSを見てそう呟く。
死にたがりの彼は、いつもふらりとどこかに消える。
つい数時間前まで楽しそうに騒いで、大口を開けて笑っていても、気づけば姿は見えなくて
まるでかくれんぼをする子供みたいだと苦しげに呟いたのは誰だったか。
彼が消えたとなれば、幹部総出でかくれんぼに参加するのだ。
仕事も任務もほっぽり出して、狂犬達も天の声も後輩も脅威も
果ては鬼の書記長や総統までもが彼を探しててんやわんやの大騒ぎだ。これが月1ペースで起こるのだからたまったものじゃない。
いい大人が少し姿を消しただけで何故こんなに騒ぐのかと思うだろうが、
それは何年か前、本当にその命を手放しかけたと言う前科があるからだ。
普段はポーカーフェイスな後輩が、こちらまで苦しくなってしまうような表情をして、ゾッとするほどに青い顔で血に塗れる彼を抱き抱えて帰ってきた時は本当に大変だった。
彼が目を覚ますまで、葬式会場がフェスに見えてしまうレベルの空気が軍内に充満していた。
もうんなの御免だ
だから今日も、彼を探しに出かける。
自慢なんかではないが、彼を見つけるのは大抵いつも自分だった。
あぁ、ほら
「みーつけた」
「ははっ、…見つかってもうた」
靴に砂が入り込む
穏やかな波の音が、今は酷く鬱陶しかった
寄る波が足元の砂を攫って、少しだけ沈む
お目当ての人物は、もう目の前
自分の足元に
「風邪ひくで?『エーミール』」
「お気遣いありがとうございます『鬱先生』」
まるで溜まりきる前の風呂に寝転がるように波で背を濡らすエーミールの顔は、酷く安らかだ。
「その顔やめてくれん?僕その顔嫌いやねん」
「ひどいなぁ、グルッペンは褒めてくれましたよ?『オフィーリアみたいだ』って」
「皮肉やねぇ」
「んふふ」
ケタケタと笑うエーミールは心底幸せそうで
それでも、体を起こそうとはしない。
「…そのままやと、もう直ぐ満潮になって死ぬで?」
「えぇ、それが目的ですもん」
あっけらかんと言い放つコイツを、ゾムあたりならひっぱたくのだろうか
「またショッピ君泣いてまうで?」
「あ〜…そうかも知れませんねぇ……でも、ショッピ君は強い子ですから大丈夫ですよ」
「…僕お前のそう言うとこ嫌い」
「ひどい」
曇った空を見つめるエーミールの瞳は酷く濁っている
ズイッとエーミールの視界に入り込んでやれば、その目はようやく俺を捉えた。
「クラゲにでもなりたいん?」
「まさか、つまらなさそうじゃないですか」
「じゃあ、なんで海?」
ゆるりと目を閉じるエーミール
ふと、ズボンの裾が重たいことに気がついた
随分と水位が上がってきたようで、もうエーミールの顔にぎりぎり被らない程度だ。
…このまま説得に失敗すれば、コイツはこんな浅瀬で溺れて死ぬんだろう
「……ぃ…から」
「うん?」
目を閉じたまま、エーミールが呟いた
「貴方の、瞳みたいだから」
たまらずに、エーミールの腕を掴んで、無理矢理起き上がらせる。
「そう言うのはちゃんと相手の目ぇ見て言うもんやぞ、阿呆ミール」
「……ひどいなぁ…勇気出して言ったのに」
自嘲気味に笑うエーミールの顎を掴んでキスをした
目を見開いて固まる彼の腕をさらに引いて立たせ、腕の中に納める
自分の体温を分け与えるように、服が濡れるのも構わず、冷えた身体をきつくきつく抱きしめた。
「…ごめん」
「……ぇ?」
「ごめん、エーミール」
「…なんで、貴方が…謝るん、ですか」
戸惑い腕の中から逃れようとするエーミールの顔に両手を這わせて目を合わせる。
未だカタカタと小さく震える姿が痛々しい
自身より幾分か背も高いはずなのに、今はなぜかずっと小さく見えた。
「大丈夫やから、ちゃんとこっち見ろ」
「……」
しっかりと目を見つめさせると、だんだんと真っ白な瞳が、青に染まっていく
きっとコイツが深海に沈めば、こんな風になるんだろうと思うのは自惚れだろうか?
「エーミール」
「…は、い」
「この『色』が好きなんやったら、いくらでも見せたるから」
「……」
「こんなしょうもない死に方すんな」
ハッと目を見開いて、控えめに服が握られた
それからゆっくりと背中にて手が周り、肩口に顔を埋められる。
甘えられないコイツの、精一杯のSOS
「帰ろか、エーミール」
「……うん」
エーミールを抱えて、少しばかり遠くなった砂浜へと歩いていく
腕の中の身体は、悲しくなるほど軽かった。
早く、帰ろう
それで
ちゃんと、話そう
あぁ
なぁ
拝啓、死にたがりのお前へ
ずっと、気づかない振りしてごめん
苦しめてごめん
謝って許されることでもないけれど
臆病な僕を許して欲しい
でも
こんな浅い所で死ぬくらいなら、俺に溺れて死んでくれ
それなら
水死体になった後でもずっと
ずっと、愛してやれるから
はい、いかがでしたでしょうか?
今回もまた両片思い的なものですね!
個人的にかなり好み
結構力作なので是非是非感想等お待ちしております!
それでは、また次の作品で……