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「委員会ある奴は忘れるなよー」
木曜日。1週間で唯一5限までで帰れる日。
心なしか浮かれる生徒に聞こえるように張り上げた教師の声は何人に届いたのだろうか。
血の滲む靴下をなんとなく眺めながら、いそいそと帰宅準備をする。
「今日から後期の役に変わるから、委員会あるんじゃないの、お前。」
驚いて振り返る。
そこにいたのは耳に沢山の穴を開けた君。
真っ白な靴下に一点浮き上がる赤を隠すように立ち上がる。きっと気付かれているだろうが。
「わー忘れてた、ありがとう!」
明るく努める。なんとか誤魔化せないだろうか。
「….それ、大丈夫か?」
無理だった。
刹那、背中を駆け巡る記憶。
(「あの子、いつも血が出てるよね。」)
(「えー?構って欲しいだけじゃない??」)
(「あーね、かまちょかー。だる。」)
次にくる言葉を身構えて待つ。背筋が凍るとはこのことだろうか。
「あー…まあ、無理してやめなくても良いんじゃね?ほら、俺もこれ、似たようなもんだしな。」
特徴的な耳を指差し話す彼を私はどんな顔で見つめていたのだろうか。