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~松本ふみ子~
高校に入学して同じクラスの甲斐くんは他の男子とは全然違っていた。
くだらないことで下品に笑っている男子とはちがって、頭がよくて大人の雰囲気を漂わせていた。
下校時間がとうに過ぎた準備室で現国の女性教師とSEXをしているところを見てしまい、ますます甲斐くんのことが気になり、観察するようになった。
派手で綺麗なタイプの複数の女性を家に招待しているのを知っている。豪邸に招待してもらえるのは選ばれた人たちだと思った。地味な私では同じクラスなのに認知すらしてもらえていない。
受験が近くなり甲斐くんの志望校を盗み見ることができ、わたしの進路は決まった。
勉強しか取り柄のないわたしは甲斐くんの志望校と同じ志望校を提出しても問題なく受理され先生にも応援してもらえたが、他の人間の言葉なんてどうでもよかった。
受験が近づくにつれて甲斐くんのまわりから女性達が消えていった。
そのことで、悪口を言う女もいたが、ただのセフレのくせに何を言ってるんだろうと思った。
甲斐くんは誰のものでもない、みんなのものなのだから。
同じ大学の同じ学部に入学が決まり、私は動画で必死に化粧やファッションを勉強し甲斐くんの前に出られるようにした。
甲斐くんは入学すると前のように色々な女性と関係を持つようになりみんなの甲斐くんに戻っていた。
わたしもその”みんな”の一人になろうと思っていた矢先、甲斐くんは他の女性たちを整理し始めた。
そして、一人の女性といつもいるようになり恋人同士になったことを知った。
独り占めされた甲斐くんは他の女性とは全く関係を持たなくなった。
せっかく化粧もファッションも勉強したのにわたしがセフレの一人になることが出来なくなってしまった。
それでも諦められなくていつかわたしも甲斐くんのセフレの一人になれる日を待ってずっと見続けた。
大学を卒業と共に甲斐くんは留学へ、わたしは甲斐商事の近くの会社に入社して帰国するのをまっていたら、甲斐くんはあの女と別れたと知った。
タワーマンションに住み始めた甲斐くんを見守るようになった時、BARで会った女性とホテルに行く姿を見てみんなの甲斐くんが戻ってきたことを知った。
BARで飲んでいる甲斐くんを観察していると時々バッグにスマホを入れて鍵をかけている姿を見かけた。
誰かに声を掛けられる前にわたしが声をかけその日のうちにホテルに行った。
ずっとずっと欲しかったみんなの甲斐くんを手に入れることができた。
甲斐くんがシャワーに入っている間にずっと観察してきたことで知っている番号をバッグやスマホに入れていく。そしてGPSソフトをダウンロードした。
これで完全に二人はつながることができた。
いつだって、甲斐くんがどこにいるのかわかる。
避けられていたってわたしからは甲斐くんがどこにいるのかわかるし、どんな女を抱いているのかもわかっている。
セフレはつくらないと言っていたけど、それでもいい。
甲斐くんはわたしとつながっているんだから
それなのに
あの女がノコノコと現れてからはまたみんなの甲斐くんじゃなくなってしまった。
悔しくてつぶやいたら訴えるとか言われて、それは困るしあの女の悪口くらい他で言えばいいからつぶやきは削除した。
なのに
なのに
あの女のせいで
甲斐くんは
みんなのものじゃなくなった
高校の時からずっとあの女よりも長く甲斐くんを愛しているのに
だから
いなくなればいいんだ
あの人も言っていたじゃない