「…はい、政府から取られたものはこれで合ってますか?」
俺は目の前の少女に、小さい鏡の魔具を渡す。
「は、はい!これで合ってます!」
少女は泣きながら、でも嬉しそうに鏡を抱きしめる。
「本当にありがとうございます、母の形見を取り返してくださって…」
俺たちが昨日政府から盗んだ…いや取り返した魔具は、実はこの少女の物だった。
魔具っていうのは、魔力を含んだ道具のこと。
杖とか剣とか、特殊な力がある魔具は数え切れないほど存在する。
政府は街の人たちから、魔具を回収、という名の強奪をしている。
逆らった者は罰せられる。
そんな理不尽に、俺達”odmn”は逆らってきた。
「…ぁ!この前の…」
少しふらふらした状態で外に出てきたのは、俺達odmnのリーダー、おどろくちゃんこと相都六花だった。
「おどろくちゃん!?寝ててっていったよね!?」
「ごめんなさい凸先輩…けどこの子に会いたかったから…」
おどろくちゃんはそう言うと、少女の方に目を向ける。
「もっと早く、お母さんの形見を取り返してあげたかったけど、ごめんね、1ヶ月も経っちゃった。」
「い、いえ!母の形見が今戻ってきたことが、とても嬉しいので…本当にありがとうございます!」
少女がそう言うと、おどろくちゃんは微笑んだ。
「君の喜んでる姿が見れて、良かった。」
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