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第12話 「旅」
八つの国を繋ぐ境界門。普段は厳重に閉ざされ、王族ですら簡単には通れない場所だ。
今日は例外だった。
「……おおきーい!✨」
きゅーが門を見上げて目を輝かせる。
「はしゃぎすぎですよ」
ゆーまが淡々と突っ込むが、視線は門の構造に向いている。
すでに“学者の目”だ。
「旅って感じしてきたな」
はるてぃーが腕を伸ばし、空を仰ぐ。
「迷子になったら置いてくからな」
山田が言うと、
「え!?待って!?冗談だよね!?」
即座にきゅーが反応する。
「冗談やろ」
こむぎが笑ってフォローする。
少し離れた場所で、
そーザウルスは門の影をじっと見つめていた。
「……ここ、暴走しそうな気配ないっすね」
「それは良いニュースだな」
うたが穏やかに返す。
最後に、たくぱん。
誰よりも静かに、誰よりも遠くを見ていた。
旅に出る理由を、口にしないまま。
「……行くぞ」
その一言で、全員の視線が前を向いた。
境界門、起動。
石に刻まれた古い文字が光り、
八人の足元に紋章が浮かび上がる。
「おぉ……!」
きゅーが思わず声を上げる。
「転移式、古代型ですね……」
ゆーまが小さく息をのむ。
次の瞬間――
世界が、反転した。
目的地:第一の国
“霧に包まれた交易国家”
地面を踏みしめると、湿った空気。
遠くに鈴の音と人のざわめき。
「……ここ、知らん国やな」
こむぎが周囲を見回す。
「当たり前だろ」
山田が肩をすくめる。
「でもさ」
はるてぃーが笑う。
「知らん場所に、知らん仲間で来てるって、 めっちゃ旅じゃね?」
きゅーが満面の笑みで言った。
「ね!!最高じゃん!!」
その一言で、空気が少し軽くなる。
たくぱんは、その様子を一歩後ろから見て、
小さく息を吐いた。
(……悪くないな)
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