テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ゆっくりんぼーダンス
6,292
猫塚ルイ
1,989
#戦闘
「ご、ゴムってマジでヤる気かよ?!」
俺が驚愕している間に颯太は玄関へ向かっていた。
ドアノブに手をかけながら振り返り
「なに驚いてんの。ほら、行くよ?」
そのあまりにも当然と言わんばかりの態度に俺は言葉を失う。
きょとんとした顔でこちらを促してくるその表情には、微塵の躊躇いも悪びれる様子もない。
ここまで来たらもう逃げられない気がした。
ずるずると引きずり込まれるような妙な諦念が背中を押し、けれど心臓はうるさいほど脈打っている。
「ちょっ、おい待てって!」
慌てて追いかけた。
その後────
コンビニに着くと、颯太は迷いなく衛生用品コーナーに向かい
コンドームを手に取った。6箱もだ。
棚の前で迷う素振りすら見せず、流れるような動作で商品を掴み取る姿に
俺の目玉は飛び出そうになる。
「はっ?6箱も買ってどうすんだよ」
「3箱は今から使うとして、あとは予備的な?」
「どんだけ使う気だよ!?」
「だってここ最近ヤってなかったから溜まってるし、いいでしょ?」
「いや、こっちは男とすんのも初めてだってのに、完全に使い潰す気マンマンじゃねぇかよ…」
「まあまあ、優しくするし?」
「お前の言葉信用ならねぇ……」
レジに行くと案の定
店員には訝しげな目で見られたが、家に戻ると、俺は妙な緊張感に包まれていた。
深夜のコンビニの空気から一転
静まり返った自室の空間が、急にひどく狭く、息苦しいものに感じられる。
並べられた箱が視界に入るたび、心臓の奥がどくんと跳ねた。
部屋に入ってから、颯太は何事もなかったように風呂場に行きシャワーを浴び始めた。
壁越しに聞こえてくる規則正しい水の音が、カウントダウンのように俺の焦燥感を煽る。
しばらくすると、髪を濡らした状態の颯太がタオルで頭を拭きながら戻ってきた。
薄い湯気と共に、あいつの体温が部屋の空気に混ざり合う。
「おまた~~」
「きたきた…んじゃ俺も入ってくっから」
言いながら風呂場に向かおうとすると
何故か颯太が俺の手首をガシッと掴んでき、行く手を阻まれた。
男のものとは思えないほど、驚くほど強固な力が手首に食い込む。
「あきらは入んなくてよくない?」
「は?いや、普通に汗かいてるし入りてぇんだけど」
「俺、汗フェチだから。そのままの方が興奮するんだよね。それにどうせヤったら汗もっとかくよ?」
「だ、だったらなおさら風呂入らせろよ!汗なんかあとでも嗅げるだろ」
「えぇ、いいじゃん。今だけだから!」
俺は顔をしかめた。
言葉の端々から滲み出る、常人には理解しがたいこだわりと、有無を言わせぬ強引さ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!