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レモン
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おむすび
55
ー薫さんが半年後にいなくなる、。時間がない。薫さんのためにも、そばに居続けないと。
「薫さん、おはよう」
「あ、日向くん!おはよう!今日もいい天気だねー」
僕たちは一緒に学校に向かっていた。僕と彼女の家は同じ方向にあったからだ。時間を合わせれば、一緒に行くことが可能なんだ。
「薫さん、僕に合わせてくれてありがとう。」
「全然、平気だよ!準備だって昨日のうちに終わってるし、髪の毛もすぐに整えられるから!」
違うはずだと、僕は思った。だって、見えたから。彼女のカバンの中にちらっと見えた、大量の薬が。
「そっか。じゃあ、行こうか。」
「うん!」
はっきり言って、僕の足はすごく重たかった。行ってしまったら、すぐに一日が終わる。その感覚が今は本当に嫌いだから。
「日向くん?どうしたの?ほら、行こうよ!」
そう言って彼女は僕の手を取った。その手は暖かった。だけど、半年後には感じられなくなるんだと、悲しくなった。
学校に着いても僕は無気力だった。授業は集中できてないし、休み時間もぼーっと外を眺めていた。そんな僕を見かねたのか、雅が声をかけてきた。
「なあ、日向。お前、何があったんだ?今のお前、死んだように暗いぞ」
「ごめん。だけど、暗いのは普通だから、今の僕はいつも通りだよ」
「そんなことねえって。明らかにおかしいだろ。いつものお前なら準備が終わってすぐにスマホを眺めるのに、一切そんな素振りをしない。ずっと遠くを見ているみたいだ。」
僕は立って言った。
「なんともない。僕は普通だから、気にしないで」
それだけ言うと、僕は教室から飛び出した。後ろから雅の声がした気がしたが、気にせず屋上へ駆け上がった。
ガチャ バタン
「はあ、はあ、」
僕はフェンスに寄りかかった。彼女が僕に余命宣告のことを話してから一週間が経った。僕は彼女のことしか考えられなかった。その度に彼女との別れが脳裏をよぎり続けた。
ーどうしたら、いいんだろう。僕は、。やっぱり僕は、何もできないんじゃないかな、?僕なんかにできることなんか、。
そして僕は、三角座りをして、顔を埋めた。そうしていたら、何も考えなくて済む気がして。何も目に入らない。目に映るのは暗い空間だけ。
「薫さんのためにも、離れた方が、いいのかな。僕なんかというより、もっと気遣いができて、楽しませてくれる人の方がいいに決まってる。僕は、そんなこと、できない、。やっぱり離れた方がいいのかも、しれない、な。」
どれくらい時間が経っただろうか。気づいたら放課後になっていたんだ。そして僕は気づいた。僕の頭を誰かが撫でているということに。僕は、慌てて立ち上がった。
「あ、起きた」
そこには、薫が座っていたんだ。
「おはよう、日向くん。」
「な、なんで、?そこに、いるの?」
「昼休みにね、いつもみたいに屋上に来たの。そしたら、蹲ってる日向くんがいてね。心配になってそばに寄ったんだ。そしたら、日向くんの背中が震えてて。だから、安心させたくて、頭を撫で続けてたんだ」
薫は、僕のためにずっと頭を撫で続けてくれていたんだ、
「でも、薫さん、無理して僕と一緒にいなくてもいいよ。僕なんかといても楽しくないでしょ?気遣いだってできないし、薫さんを楽しませる術だって持ってない。こんな男といるより、もっと気遣いができて、一緒にいて楽しくなれる人といた方がいいよ。僕なんかといるより、よっぽと楽しい思い出が作れる」
すると、薫の顔が少しずつ怒りが見えた。
「日向くんは、何を言ってるの!私、言ったじゃない!日向くんが隣にいてくれるだけで私は楽しいんだって!」
「そんなのはお世辞なんだろう!?僕を安心させるための!」
「違う!日向くんは、私のためにできることを探してくれてる!だからここに来たんでしょ!?私のためにできることはないかって!だけど自分が妹にのために何もできなかったからって言って、逃げてるのはあなたじゃない! 」
「実際に僕は雪のために何もできなかった!どうせ、今回も同じだ!そして後悔するんだ!なんであの時何もしなかったんだって!!」
「それがわかってるなら、なんで行動しようとしないの!?なんで変わりたいって願ってるのに、諦めちゃうの、!私は、私は!本当に、日向くんといて楽しいのに!なんでわかってくれないの!?なんで、そこまで自分を嫌ってるの!日向なら日向らしく輝いていなさいよ!俺は輝いているって胸を張って笑っていてよ! 」
そう、薫は涙を流しながら言った。そして、僕をそっと抱きしめた。その温もりに、涙が溢れた。
「私は、日向くんに、そばにいて欲しいの、!お願いだから、そばにいてよ、。」
どうやら、僕が間違っていたようだ。何かしなきゃとか、そんなことじゃなかった、薫はそんなことを求めていない。ただ、そばにいるだけでよかったんだ。それを僕は、。
「ごめん、薫さん、この一週間、ずっとかんがえてたんだ。どうしたら薫さんの力になれるのかなって。だけど、その度に半年後に別れがくるって事実が、頭をよぎり続けて、!その感覚が苦しくて!それならいっそ僕から離れた方が楽になれるんじゃないかって思ったんだ、。そんなこと、思っちゃいけなかった、のに!それなのに、僕なんかって言い続けて、。ごめん、ごめん、薫さん、ごめん、なさい、。」
「謝らないでよ、日向くん。だけど、これからは約束して?」
「え?」
「ずっと、私のそばに居続けること!例え自分自身が嫌いになっても、私のそばに居続けて。私が必ず、日向くんが、日向くん自身を愛せるように、私がしてみせるから!」
そう言って薫は笑った。僕は思った。
ー僕が、自分自身を愛せるように、。少しは、期待してみても、いいのかな?
コメント
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うわあ……この第6話、胸がぎゅっとなりました。日向くんが自分を「僕なんか」と責め続けるけど、薫さんが「そばにいてほしい」って涙で訴えるシーンが特に。自分を嫌いでも離れないでほしいって、あんなに真っ直ぐ言ってもらえるのってすごく救われる。半年後に別れが来る前提で動いちゃう苦しさも伝わってきて、二人の不器用なぶつかり合いに感情が持っていかれました。